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採用広報の社員インタビュー記事をClaudeで作る — 本人確認と公開許諾の回し方

採用広報の社員インタビュー記事をClaudeで作る — 本人確認と公開許諾の回し方

社員インタビューの文字起こしから採用広報の記事を作り、本人・上長・人事広報の確認と、媒体ごとの公開許諾までを回す手順。Projectsの指示とプロンプト例つきです。

社員インタビューを採用サイトやオウンドメディアの記事にするとき、Claudeに任せやすいのは文字起こしの整理と構成案、そして「誰に何を確認するか」の一覧づくりです。任せにくいのは、本人が載せてよいと思っているかの判断です。この記事では、文字起こしをProjectsに置き、記事案と確認シートを同時に作って、本人・上長・人事広報の順に確認を回す手順を、採用広報の担当者向けに示します。

社員の記事は、顧客事例より確認が難しくなります。取材相手が自社の従業員なので、断りにくい立場にあるからです。確認の段取りを先に決めておけば、記事が出た後の取り下げ依頼や、本人の不本意な露出を減らせます。

社員インタビューが顧客事例と違う点

顧客の導入事例は、顧客企業の承認を取る作業が中心です。手順はClaude導入事例の作り方に書いています。社員インタビューは、承認する主体が「会社」と「本人」に分かれます。

観点顧客事例社員インタビュー
許諾の主体顧客事例顧客企業(広報・法務)社員インタビュー本人と、自社の広報・人事
断りやすさ顧客事例契約上の関係で、断る選択肢がある社員インタビュー上長や人事の依頼で、断りにくい
公開される情報顧客事例社名、導入成果、担当者の肩書き社員インタビュー氏名、顔、所属、経歴、働き方、家庭の話
公開後のリスク顧客事例競合への情報漏れ社員インタビュー他社からの接触、社内外での特定、退職後も残る記事
取り下げの契機顧客事例契約終了、広報方針の変更社員インタビュー異動、退職、本人の気持ちの変化

右端の行が見落とされがちです。社員の記事は、公開から数年後の異動や退職で、載せた内容の意味が変わります。取り下げの手順は、公開前に決めておく項目に入れます。

確認は三者に分けて、役割を混ぜない

確認する人を増やすほど安全になるわけではありません。誰が何を決めるかを分けておかないと、上長の意向が本人の同意を上書きします。

確認の分担

確認する三者と、それぞれが決めること

  • 本人

    発言が自分の意図と合っているか。載せてよい情報の範囲。顔写真や氏名の掲載可否。削ってほしい箇所の指定。

  • 上長

    業務内容の事実関係。社外に出せない案件や未発表の情報が混ざっていないか。本人の働き方の描写が実態と合っているか。

  • 人事・広報

    媒体と掲載期間の最終決定。社内規程、取材時の同意書との整合。取り下げ依頼の窓口。

上長の確認は、事実関係と機密の確認に限ります。本人の発言を弱める、評価に関わる話を足す、といった修正は上長の役割に入れません。本人が書いた同意を上長の判断で取り消せる形にすると、同意が任意とは言えなくなるためです。

本人への確認は、上長を通さず人事広報から直接送ると、断りやすさが保てます。「掲載を見送りたい」と答えられる欄を、確認シートに最初から置いておきます。

取材の前に決めておく、個人情報の扱い

文字起こしには、本人の発言、同僚の名前、所属、プライベートの話が入ります。Claudeに渡す前に、次の3点を決めておきます。

  1. 取材の際に、文字起こしを生成AIで処理することを本人に伝えているか
  2. 記事の利用目的と、掲載する媒体を本人に示しているか
  3. 自分のプランで、入力した内容の学習利用がどう扱われるか

個人情報保護法は、個人情報を取り扱うときに利用目的をできる限り特定することを求めています(第17条)。取得した個人情報は、あらかじめ本人の同意を得ない限り、特定した利用目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱えません(第18条)。取得したときは、利用目的を公表している場合を除き、速やかに本人へ通知または公表する義務もあります(第21条第1項)。

採用広報の記事では、「記事の素材として文字起こしを作り、生成AIに入力して下書きを作る」ところまで取材前の説明に入れておくのが筋です。法務の判断が必要な場面は多いので、同意書の文言は自社の法務に見てもらってください。入力の扱いはClaudeを学習させない設定と、Claudeに機密情報を入力しても安全かが手がかりになります。個人情報の入力全般はClaudeに個人情報を入力する前に確認する一次資料にまとめています。

病歴や信条のような要配慮個人情報は、本人の同意なく取得できません(第20条第2項)。育児や介護、通院の話が取材で出たときは、記事に使うかどうかとは別に、取り扱いを本人と確認します。

Projectsに何を置くか

取材1本につき1つのプロジェクトを作ります。ヘルプセンターによると、プロジェクトはチャット履歴とナレッジベースを持つ独立した作業場で、知識の中身は文脈として使われます。プロジェクト指示を定めておくと、トーンや役割を揃えられます。

置く材料は次の4つです。

  • インタビューの文字起こし(TXTまたはDOCX)
  • 採用サイトの記事フォーマット(見出し、文字数、必須項目)
  • 公開済みの社員記事を1〜2本(文体の見本)
  • 表記ルール(社名、部署名の書き方、使わない言葉)

ファイルは1つ30MBまでで、個数の上限はありません。ただし内容の合計がコンテキストウィンドウに収まる必要があり、テキストの抽出が中心です。音声ファイルのまま渡すのでなく、先に文字起こしを作ります。上限の全体はClaudeファイル上限の一覧にあります。

無料プランでも作れるプロジェクトは5つまでです。社員ごとにプロジェクトを分けると、複数名の取材を回す担当者は上限に当たります。その場合は、公開が済んだプロジェクトを削除して空けます。

手順1: プロジェクト指示に「社員の記事」のルールを書く

顧客事例の指示と違うのは、本人が言っていないことを書かせない点に加えて、個人を特定できる情報を勝手に足させない点です。

プロジェクト指示の例
あなたは、採用サイトの社員インタビューを作る編集者です。
材料は、このプロジェクトの知識にあるファイルだけです。
 
守ること:
- 文字起こしに無い経歴、数字、肩書き、家族構成を書かない。
  足りない箇所は [要確認: 何が足りないか] と残す。
- 本人の発言を引用するときは、原文のまま使い、発言ID(例: T-0123)を付ける。
- 同僚、上長、取引先の実名は、本文に出さず [他者名] と置く。
- 年齢、居住地、家族、病気、評価、給与の話は、本人の発言であっても
  [機微: 種別] を付けて、本文に入れる前に確認の対象にする。
- 「やりがい」「成長」など、発言に無い評価語を足さない。
- 記事フォーマットの見出しと順序に従う。

記事は採用目的の文章なので、読み物として整えるうちに「会社が言わせたい話」へ寄りがちです。評価語を足さない、機微な話に目印を付ける、の2点を指示に入れておくと、確認シートの材料が自然に出てきます。

発言IDは、文字起こしの各行に先頭から振っておきます。IDによる引用の原文照合はClaudeでインタビュー逐語録を横断分析する手順のやり方がそのまま使えます。

手順2: 構成案と「特定されうる情報」の洗い出し

本文を書かせる前に、構成案と、載せると本人が特定されやすくなる情報の一覧を出させます。

構成案のプロンプト(例)
添付の文字起こしと記事フォーマットから、構成案を作ってください。
 
出力:
1. 見出しごとに、使う発言のIDを並べる
2. フォーマットの必須項目のうち、文字起こしに材料が無いものを列挙する
3. 本人の特定につながる情報(所属、入社年、担当案件、前職、家族、居住地)を、
   発言IDつきで一覧にする
4. [機微] を付けた発言の一覧と、記事に使う場合の注意点
 
本文はまだ書かないでください。

項目3が、社員記事に固有の作業です。単体では問題のない情報も、「入社3年目の、○○部の、元△△社の営業」と重なると、社内外で本人が特定されます。転職を考えていない社員にとっては、他社からの接触につながりうる情報です。一覧を本人に見せて、載せる粒度を本人に決めてもらいます。

粒度を本人が選べるようにする

特定のしやすさは、段階で示すと本人が選びやすくなります。

段階書き方の例本人が特定されやすい度合い
詳細書き方の例「2022年入社、営業部の○○課所属」本人が特定されやすい度合い高い
中程度書き方の例「営業部で3年目」本人が特定されやすい度合い条件次第
粗い書き方の例「営業職」本人が特定されやすい度合い低い

どの段階にするかは本人の希望を優先し、記事の統一感よりも本人の選択を残します。

手順3: 本文を書かせ、確認シートを同時に作る

構成案に手を入れたら、見出し単位で本文を書かせます。同時に、本人と上長に回すシートの下書きも出させます。

確認シートのプロンプト(例)
本文の下書きを読み、確認シートを2つ作ってください。
 
【本人用】列: 該当箇所 / 根拠の発言ID / 質問文 / 回答欄(このまま・修正・削除)
- 引用符で囲んだ文はすべて入れる
- 所属、肩書き、入社年、前職など、特定につながる記述はすべて入れる
- [機微] の発言が使われていれば、必ず入れる
- 最初の行に「掲載そのものを見送りたい」の選択肢を置く
 
【上長用】列: 該当箇所 / 質問文 / 回答欄
- 業務内容の事実関係、未発表の情報が含まれていないかだけを聞く
- 本人の発言の言い回しや、評価に関わる内容は聞かない

質問文は「はい・いいえ」か、修正案で答えられる形にします。「内容をご確認ください」だけでは、何を見るべきか伝わりません。

上長用のシートで、聞くことを事実関係と機密に絞っているのは、前の節の役割分担を紙の上で固定するためです。Claudeが出した質問に評価に踏み込むものが混ざっていたら、手で削ります。

Claudeに法的な判断をさせない

確認シートの質問文は下書きにすぎません。「この記事は個人情報保護法に違反しないか」のような問いをClaudeに投げて、その答えを承認の根拠にするのは避けます。同意の取り方や社内規程との整合は、自社の法務と人事が決める事項です。

公開許諾を媒体ごとに取る

本人の同意は「記事にしてよい」という一括の了承ではありません。どの媒体に、どの形で、いつまで載せるかを分けて取ります。

くらべる

一括の同意と、媒体ごとの同意

避ける

一括の同意

「採用広報に使ってよい」の1行だけ。後から求人媒体の広告やSNSの投稿に転用すると、本人が想定していなかった露出になる。

推奨される形

媒体ごとの同意

媒体、掲載期間、写真の利用、転載の可否を欄ごとに分け、本人がチェックで選ぶ。後から使い道を足すときは再度確認する。

許諾シートの項目は、次の表を雛形にできます。Claudeに「この項目で許諾シートを作って」と頼むと、質問文の下書きが出ます。

項目選択肢の例補足
氏名選択肢の例フルネーム / 姓のみ / イニシャル / 匿名補足匿名でも所属で特定されうる
顔写真選択肢の例掲載可 / 後ろ姿のみ / 不可補足撮影した写真の使い回し先も聞く
掲載媒体選択肢の例採用サイト / 求人媒体 / SNS / 社内報 / 説明会資料補足媒体ごとにチェック
掲載期間選択肢の例1年 / 2年 / 取り下げ依頼があるまで補足期間後の扱いも決める
広告・動画への転用選択肢の例可 / 不可補足別途の同意を原則とする
取り下げの窓口選択肢の例人事広報の担当者名と連絡先補足異動・退職後も有効と明記

第三者への提供は、原則として本人のあらかじめの同意が要ります(同法の第27条第1項)。外部の求人媒体へ記事の素材を渡すときは、この規定が関わる可能性があるため、媒体名を許諾シートに具体的に書いておきます。

公開後の取り下げと、保管の決め方

退職した社員の記事を下げてほしいという依頼は、採用広報で実際に起きる場面です。次の3点を、公開前に決めておきます。

  • 取り下げの依頼を受ける窓口と、対応する期限の目安
  • 記事を下げたときに、検索エンジンのキャッシュや外部媒体の転載先をどう扱うか
  • 取材データ(音声、文字起こし、確認シートの回答)の保管期間と削除の方法

法律面では、本人は、利用目的の範囲を超えて取り扱われている場合などに、保有個人データの利用停止や消去を請求できます(第35条第1項)。ただし、この請求の可否は個別の事情で変わります。法定の請求を待たず、本人の希望があれば取り下げる運用にしておくほうが、揉めにくくなります。

取材後のプロジェクトは、公開が済んだら中の文字起こしを削除するか、プロジェクトごと削除します。公開済みの記事は、次の取材の見本として使えますが、本人が取り下げた記事は見本のファイルからも外します。

社内で共有するときの設定

人事、広報、現場の担当者でプロジェクトを回すなら、共有が必要になります。共有はTeamとEnterpriseプランの機能で、個人プランのプロジェクトは共有できません。

  • 権限は「Can view」(内容を見て、チャットはできる)と「Can edit」(指示や知識の編集も可)の2段階です
  • 特定のメンバーだけに共有することも、組織全体に公開することもできます
  • 管理者が共有をオフにしている組織では、共有できません

社員の文字起こしと確認シートは、本人の発言が詰まった内部資料です。組織全体への公開は避け、人事広報の担当者だけを「Can edit」にして、上長には閲覧が必要な範囲だけを渡す運用が考えられます。上長に見せるのは、上長用の確認シートまでで足ります。

よくあるつまずき

症状起きやすい原因対処
本人が言っていない前向きな表現が入っている起きやすい原因指示に評価語の禁止が無い対処手順1の指示を見直し、引用符内の文をIDの行と照合する
同僚の実名や取引先名が残っている起きやすい原因他者名の置き換えを指示していない対処本文中の固有名詞を全件抽出させ、人が確認する
本人が「そこまで書いてほしくなかった」と言う起きやすい原因特定情報の一覧を本人に見せていない対処手順2の項目3を本人に回し、粒度を選んでもらう
上長の修正で本人の発言が弱まった起きやすい原因上長の確認範囲を決めていない対処上長用シートは事実関係と機密に絞る
公開後に広告へ転用された起きやすい原因媒体ごとの許諾を取っていない対処許諾シートを媒体別にし、転用時は再確認する

まとめ

社員インタビューの採用広報で、Claudeが役立つのは、発言ごとの根拠の一覧と、特定されうる情報の洗い出しです。文章の清書より、本人が判断するための材料を整えるほうに価値があります。

判断そのものは、本人・上長・人事広報に残ります。確認を三者に分け、許諾を媒体ごとに取り、取り下げの窓口を公開前に決めておけば、記事が長く載り続けても本人に負担が寄りにくくなります。スカウト文面の作り方はClaudeでスカウトメールの文面を作る手順が続きになります。

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