ClaudeとVWO(Wingify)を連携する方法 — A/Bテストの結果確認と実験の起案
Wingify(VWO)のコネクタをClaudeに繋ぎ、キャンペーンの成績やヒートマップを会話で読み、A/Bテストの下書きまで任せる手順です。権限3段階の選び方と、ツールの役割もまとめます。
Claude VWO連携とは — Wingifyコネクタで実験データを会話から引く
VWOの実験データをClaudeから読むには、Wingify社のコネクタを使います。Wingifyは、VWOの名前でも知られる実験・CRO(コンバージョン率最適化)基盤の提供元です。ディレクトリ上の名前は「Wingify」です。検索窓にVWOと打っても、探すコネクタはWingifyです。
ディレクトリのページでは「Anthropic verified」の表示が付き、カテゴリは「Data & analytics」、追加時期は2026年8月です。サインインは必須で、接続先は地域ごとに3つあります。Claudeがキャンペーンの成績、ヒートマップ、セッション録画、データプラットフォームの情報を読み、A/Bテストを作る連携です。
できることは、大きく2つに分かれます。
- 既存の実験の成績を聞く(キャンペーンの一覧、レポート、日別の推移)
- 新しいA/Bテストやスプリットテストを、自然文の指示から作る
CSVを渡して検定する方法はClaudeにA/Bテストの有意差を検定させる手順にあります。こちらはVWOの画面に入っているデータを、書き出さずに直接読ませる入口です。
接続先のURLと必要な準備
接続先はアカウントの地域で決まります。次の3つです。
| 地域 | MCPサーバーのURL |
|---|---|
| グローバル | MCPサーバーのURLhttps://mcp.wingify.ai/mcp |
| ヨーロッパ | MCPサーバーのURLhttps://mcp-eu.wingify.ai/mcp |
| アジア | MCPサーバーのURLhttps://mcp-as.wingify.ai/mcp |
認証はOAuth 2.0で、動的クライアント登録に対応しています。APIトークンを自分で発行して貼る必要はありません。
準備として要るものは、Wingifyのアカウントと、Claudeのアカウントの2つです。手順は、ディレクトリからの追加ではなく「カスタムコネクタの追加」で書かれています。
接続手順 — カスタムコネクタで4ステップ
手順は次の流れです。
Claudeにコネクタを追加して使い始めるまで
- 1
コネクタを追加する
Claudeの設定から「Connectors」を開き、「Add custom connector」を押します。名前に「Wingify」、リモートMCPサーバーのURLに地域のURLを入れて「Add」を押すと、ClaudeがURLを検証してOAuthの画面へ進みます。
- 2
Wingify側で承認する
接続するWingifyアカウントを選び、権限レベルを決めて承認します。権限の違いは次の節で扱います。
- 3
ツールごとの許可を決める
「Connectors」でWingifyを選んで「Configure」を開きます。読み取りのツールと、書き込み・削除のツールが分かれて並び、ツールごとに「Always allow」「Needs approval」「Blocked」を選べます。
- 4
会話でオンにする
新しいチャットの入力欄の「+」から「Connectors」を開き、Wingifyをオンにします。オンにしないと、キャンペーンの質問をしてもWingifyは呼ばれません。
質問は具体的にするほど当たります。キャンペーン名、ページのURL、期間を添えると、取りに行くデータが絞れます。
複数のWingifyアカウントを使う場合は、アカウントごとにカスタムコネクタを作ります。
権限3段階 — Browseから始めるのが無難な理由
承認画面では、Claudeに与える権限を3段階から選びます。
| 権限 | できること |
|---|---|
| Browse | できることWingifyのデータ、セッション録画、ヒートマップ、A/Bテスト、スプリットURLテスト、多変量テストの読み取りだけ。作成と編集は不可 |
| Design | できることA/BテストとスプリットURLテストの新規作成 |
| Publish / Admin | できることA/Bテストとスプリットテストの作成、編集、開始、一時停止、削除まで全権 |
最初はBrowseで繋ぐ形が、失敗の影響を小さく保てます。結果を読む使い方だけなら、これで足ります。起案まで任せたくなった段階でDesignに上げ、Publish / Adminは公開の判断を人が持てるうちは見送る、という段階の踏み方です。
もう1つの安全装置が、Claude側のツール単位の設定です。書き込み系のツールを「Needs approval」にしておくと、実験を作る直前に確認が挟まります。Wingify側の権限とClaude側の承認が二重になるので、片方を緩めてもう片方で止められます。
トラブルシューティングには、次の記載があります。
- 「Add custom connector」が出ない場合は、無料のClaudeプランで、すでにコネクタを1つ設定している可能性がある。無料プランのカスタムコネクタは1つだけで、既存のものを外すかプランを上げる
- キャンペーンの一時停止や開始をClaudeがしてくれない場合は、書き込み・削除のツールが許可されていない。「Configure」で該当ツールを「Always allow」にする
後者の対処には注意が要ります。「Always allow」は確認なしで実行される設定なので、実験の開始や停止を無条件に通すことになります。本番のトラフィックに影響する操作は「Needs approval」のまま、都度確認する運用が現実的です。
ツールを役割で分けて読む
ディレクトリのページは、ツール数を29個と表示します。一覧に名前が並ぶのは24個で、役割で分けると3つのグループになります。
| グループ | 個数 | 主なツール名 |
|---|---|---|
| 結果・調査(読み取り) | 個数6 | 主なツール名fetch_campaign_report_tool、fetch_campaign_daywise_data_report_tool、get_campaigns_overview_tool、calculate_sample_size_tool など。表示名は「Analyze Wingify Heatmap Data」「Analyze Wingify Recording Data」 |
| 実験の作成・複製 | 個数3 | 主なツール名create_ab_campaign、create_split_url_campaign、clone_wingify_campaign_tool |
フィーチャーフラグ関連(fe_始まり) | 個数15 | 主なツール名フラグとルールの作成、取得、更新、削除、切り替え、メトリクス取得、プロジェクト・環境の一覧 |
ヘルプの表に載るのは、このうちキャンペーン側のツールだけです。読み取り9つと書き込み5つで、書き込みにはキャンペーン設定の更新と、開始・一時停止・停止のステータス更新が含まれます。フィーチャーフラグ系の15個は、ヘルプの表には出てきません。役割は名前から読めるだけで、権限3段階のどれで動くかの説明もないため、使う前にテスト用のアカウントで挙動を見るのが安全です。
もう1つ、資料同士の食い違いがあります。ヘルプの表にはステータス更新のツールがありますが、ディレクトリの一覧に並ぶ名前には、更新系の名前は載っていません。トラブルシューティングにも「一時停止は現状のツールでは未対応」と読める記述があります。実験の開始・停止までClaudeに任せる前提で運用を組むのは避け、公開操作はWingifyの画面で行う形にしておくと、仕様が変わっても困りません。
結果を読む — 頼み方の型
読み取りでは、たとえば次のような頼み方ができます。
- 当月に勝者が出ていないキャンペーンの一覧を出す
- ヒートマップから、特定ページのクリックの偏りを要約する
- 同じページ・同じ期間のセッション録画を、デバイス別・地域別にまとめる
- 稼働中のキャンペーンで、今週のコンバージョン率が最も高いものを聞く
実験の読み取りは、「どの実験を」「どの期間で」「何と比べるか」を明示すると、取りに行くデータが定まります。次は頼み方の一例で、実際の出力を保証するものではありません。
Wingifyの稼働中キャンペーンから、料金ページのA/Bテストを探してください。
開始日からの日別コンバージョン率を、コントロールと各バリエーションで
並べ、差が開いた日と、その日に何があったかの手がかりを挙げてください。
勝者の断定はせず、サンプルが足りているかも合わせて教えてください。「勝者の断定はせず」と書き添えるのは、運用上の工夫です。実験の判定は、サンプル数、期間の曜日の偏り、複数指標のどれを主指標にするかで変わります。Claudeに要約を任せても、最終判断は人が持つほうが筋が通ります。
数字を意思決定に使う前には、Wingifyのレポート画面と1回突き合わせます。Claudeが取得した値は、画面の値と合っているはずですが、合っていることを自分の目で確かめた経験が、次の依頼の信頼度になります。
起案する — 仮説から下書きまで
Designの権限があれば、仮説をそのまま実験にできます。A/Bテストは自然文の説明から作れます。
流れは3段階で組むと扱いやすくなります。
- 過去の実験とヒートマップを読ませ、効きそうな箇所の候補を出させる
- 候補から1つを選び、仮説の形(何を変えると、誰の、何の指標が、どう動くか)に整えさせる
- 必要なサンプルサイズを計算させ、確認してから作成させる
サンプルサイズの計算は calculate_sample_size_tool の役割で、これはベイズ流のA/Bテスト向けの計算です。頻度論の検定で逆算した必要数とは、前提が異なります。両者の数字をそのまま比べると食い違うことがあるため、どの方式で決めるかを先に揃えます。検定側の考え方は有意差を検定させる記事に整理しています。
作成の依頼は、一度に全部を頼まず、案を見てからにします。例えば次のようにします。
先ほどの仮説で、料金ページのCTAボタン文言を変えるA/Bテストの案を作ってください。
コントロールと1つのバリエーション、主指標はプラン選択ボタンのクリックです。
作成前に、設定内容を一覧で見せてください。承認するまで作成しないでください。「作成前に見せる」と指示しても、実際に作成を止めるのはClaude側のツール承認です。指示だけに頼らず、作成系を「Needs approval」にしておくことが前提になります。
既存の実験を土台にしたいときは、clone_wingify_campaign_tool が複製を担当します。成績の良かったテストを複製して、文言だけ差し替える使い方に向きます。
Claude Codeから使うには
ディレクトリのコネクタはClaudeのアカウントに紐づく設定です。Claude Codeには別の登録経路があり、リモートのHTTPサーバーはURLを指定して追加できます。
claude mcp add --transport http wingify \
https://mcp.wingify.ai/mcp
claude mcp list追加後にClaude Code内で /mcp を開き、OAuthの認証を済ませます。これはClaude CodeのMCPドキュメントにあるHTTPサーバー追加の形に、WingifyのURLを当てはめた例です。Wingifyのヘルプが案内しているのはClaudeのカスタムコネクタだけで、Claude Codeからの接続手順は載っていません。
開発側の実験基盤を操作したい場合は、別の話になります。フラグと実験をClaude Codeから動かす手順はStatsig MCPサーバーの記事にあります。
隣のコネクタとの使い分け
VWOの成績を読むコネクタと、他の分析系コネクタは、見ているデータの層が違います。
| 知りたいこと | 向く入口 |
|---|---|
| 実験ごとの勝敗・日別の推移 | 向く入口Wingifyコネクタ |
| 実験の外側で、LPのどこで離脱しているか | 向く入口Microsoft ClarityのMCP |
| 書き出したCSVの有意差の検定 | 向く入口Claudeのコード実行 |
| 開発側のフラグ・実験基盤 | 向く入口Statsig MCPサーバー |
Wingifyのコネクタはヒートマップとセッション録画も読めるため、Clarityの代わりに使える場面もあります。ただし、実験を回していないページの行動データが目的なら、別のツールが向きます。
コネクタ全般の追加方法や管理の考え方は、Claude Connectorsの一覧と追加方法にまとめています。
運用で押さえたい点
データの鮮度。Claudeは実データを取得して要約しますが、要約の誤りを防ぐ仕組みの説明はありません。主要な数字は画面と突き合わせてから共有する運用が確実です。
権限の見直し。Wingify側の権限は、承認画面で選ぶ項目です。Browseで始めた接続をDesignに上げる手順は、ヘルプに書かれていません。上げたいときは、承認の画面で選び直せるかを、先にテスト用の接続で試します。
ツールを許可しすぎない。レポート、ヒートマップ、録画の3つの読み取りから許可するのが出発点です。使う予定のものだけをオンにして、書き込み系は必要になった時点で足します。
Microsoft Copilotとの違い。標準のMicrosoft CopilotはMCPに対応せず、Copilot Studioなら繋げます。Claudeに限った話ではない点なので、社内で他のAIツールを併用している場合は、先にそちらの対応状況を確かめます。
向く使い方・向かない使い方
向くのは、週次の実験レビューの下準備です。「勝者が出ていない実験の一覧」や「先週動きのあった実験」を朝に引き、確認すべきテストを絞れます。ヒートマップの要約から仮説の種を拾う使い方も、画面を何枚も開く手間を減らせます。
向かないのは、統計的な最終判定や、本番の公開判断をClaudeに丸ごと任せる使い方です。実験の開始・停止は、権限もツールの対応状況も資料間で揃っていません。起案までをClaudeに、公開は人に、と線を引くと、仕様が動いても運用は崩れません。