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随意契約の理由書をClaudeで下書きする手順 — 施行令167条の2の号と見積書の突き合わせ

随意契約の理由書をClaudeで下書きする手順 — 施行令167条の2の号と見積書の突き合わせ

地方自治法の施行令167条の2第1項の九つの号と、見積書・予定価格の資料をClaudeで突き合わせ、随意契約の理由書の骨子を起こす手順。号の選定は職員が決めます。

随意契約の理由書は、競争入札によらない契約を選んだ根拠を、条文の号と手元の資料で説明する文書です。Claudeには、条文の号ごとに必要な根拠資料を洗い出させ、見積書や予定価格との突き合わせ表と理由書の骨子を下書きさせられます。どの号を採るかを決めるのは、契約担当の職員です。

ここでは、地方自治法の施行令第167条の2第1項の九つの号を軸に、Claudeへ渡す資料、突き合わせ表の作り方、理由書の骨子の起こし方を順に示します。

随意契約が許される場合は、条文で閉じている

地方自治法第234条第2項は、指名競争入札、随意契約、せり売りを「政令で定める場合に該当するときに限り」できると定めています。随意契約の手続についても、第6項が政令に委ねています。

その政令が施行令です。随意契約によれる場合は、第167条の2第1項の第1号から第9号までに限られます。理由書の中心は、この九つのどれに当たるかの説明です。

号条文の要点理由書で裏付ける材料
第1号条文の要点予定価格が、別表第五の範囲内で自治体の規則が定める額を超えない契約理由書で裏付ける材料予定価格の積算、自治体規則の上限額
第2号条文の要点不動産の売買・賃借など、性質や目的が競争入札に適しない契約理由書で裏付ける材料競争に適しない理由の説明、相手方の特殊性
第3号条文の要点障害者支援施設などから、規則の手続で物品を買う、役務の提供を受ける契約理由書で裏付ける材料相手方が条文の施設等に当たることの確認、長の認定
第4号条文の要点新商品・新役務で新分野を開拓する者として長の認定を受けた者との契約理由書で裏付ける材料長の認定書、規則の手続
第5号条文の要点緊急の必要により競争入札に付せないとき理由書で裏付ける材料緊急性を示す経緯と日付
第6号条文の要点競争入札に付することが不利と認められるとき理由書で裏付ける材料不利になる理由と比較の資料
第7号条文の要点時価に比して著しく有利な価格で契約できる見込みがあるとき理由書で裏付ける材料時価の根拠と提示価格の比較
第8号条文の要点競争入札に付して入札者がない、または再度入札でも落札者がないとき理由書で裏付ける材料入札経過、不調の記録
第9号条文の要点落札者が契約を締結しないとき理由書で裏付ける材料落札から辞退までの経過

「特命随契」「少額随契」「不落随契」は現場の呼び名です。条文に「特命」の語はなく、少額は第1号、不落は第8号、落札者の辞退は第9号に当たります。特定の相手方しかいない場合の整理は、第2号か第6号のどちらで説明するのかを、条文に当てて決める作業になります。

号ごとに、理由書で効く条件を読み分ける

九つの号は、理由書の書き方が三つの型に分かれます。

金額で決まる型(第1号)。予定価格が、規則で定める額を超えないことを示せば足ります。上限は自治体の規則が決め、その範囲は別表第五が区切っています。

契約の種類都道府県・指定都市の上限枠市町村の上限枠
工事又は製造の請負都道府県・指定都市の上限枠400万円市町村の上限枠200万円
財産の買入れ都道府県・指定都市の上限枠300万円市町村の上限枠150万円
物件の借入れ都道府県・指定都市の上限枠150万円市町村の上限枠80万円
財産の売払い都道府県・指定都市の上限枠100万円市町村の上限枠50万円
物件の貸付け都道府県・指定都市の上限枠50万円市町村の上限枠30万円
上記以外都道府県・指定都市の上限枠200万円市町村の上限枠100万円

表の額は、規則で定められる額の上限枠です。実際の基準額は各自治体の契約規則にあり、枠より低いことがあります。理由書の下書きに使う数字は、必ず自分の自治体の規則から取ります。

相手方と認定で決まる型(第3号、第4号)。契約の内容より、相手方が条文の定める施設や事業者に当たるかが問われます。条文は、総務省令に基づく長の認定を受けた者を挙げているため、認定の事実を示す資料が根拠になります。

事情で決まる型(第2号、第5号から第9号)。競争に適しない、緊急、不利、有利な価格、不調、辞退のいずれかの事情を、経緯と資料で説明します。第6号の「不利」にどの事情が当たるかは条文だけでは読めず、自治体の運用や過去の決裁との整合を見る部分です。

第8号と第9号には、条件の縛りがあります。

  • 第8号(不調)では、契約保証金と履行期限を除き、最初に入札へ付したときの予定価格その他の条件を変更できない(第2項)
  • 第9号(落札者の不締結)では、落札金額の制限内で行い、履行期限を除き、最初の条件を変更できない(第3項)
  • どちらも、予定価格や落札金額を分割して計算できるときに限り、その範囲内で複数の者に分割して契約できる(第4項)

不落随契の理由書には、最初の入札時から条件を動かしていないことの確認が要ります。変えてよいのは契約保証金と履行期限だけ、という点が見落とされやすい箇所です。

条文に出てこないもの — 見積書と理由書の様式

第167条の2の条文には、「見積書」も「理由書」も出てきません。見積書を何者から何通取るか、理由書をどの様式で、誰の決裁まで回すかは、自治体の契約規則や事務の手引きが決めています。

つまり、Claudeに条文だけを渡しても、自治体の様式どおりの理由書にはなりません。庁内の様式と過去の決裁例を、あわせて渡すことが前提になります。

Claudeに渡す資料を4点そろえる

入力する前に、庁内の情報取扱いルールで入れてよい範囲を確認します。線引きの考え方は自治体職員の生成AI利用と総務省ガイドラインにまとめています。そのうえで、次の4点を渡します。

  1. 案件の概要。品名や業務名、数量、履行期間、予定価格、契約の種類(請負、買入れ、借入れなど)
  2. 自治体の契約規則と随意契約の運用文書。第1号の基準額、見積書の徴取ルール、理由書の様式の定めが載った部分
  3. 見積書。複数あれば全て。相手方、金額、有効期限、仕様の前提
  4. 施行令第167条の2第1項の条文。記憶に頼らせず、貼り付けて渡す

条文は、e-Gov法令検索の第167条の2をコピーして貼ります。Claudeが号の文言を言い換えて覚えていると、「競争入札に付することが不利と認められるとき」のような短い文言に、存在しない要件を足すことがあります。条文を貼り、回答には号の文言をそのまま引用させます。

手順1: 該当しうる号を、条文の文言つきで挙げさせる

最初に決めさせるのではなく、候補を広く挙げさせます。

添付の案件概要と、貼り付けた施行令167条の2第1項を読んでください。
1. 案件が該当しうる号を、可能性のあるものすべて挙げてください。
2. 号ごとに、条文の文言を一字も変えずに引用してください。
3. その号に当たると言うために、案件のどの事実が必要かを書いてください。
4. 案件概要に書かれていない事実は「未確認」と書き、推測で補わないでください。

4つ目の指示が要です。案件概要に「緊急」と書かれていなければ、第5号は「緊急性を示す事実が未確認」と返させます。ここで号を一つに絞らせないのは、職員が決める判断を先取りさせないためです。

手順2: 見積書との突き合わせ表を作る

次に、採りたい号について、条文が求める事実と手元資料を一覧にさせます。第1号の例です。

第1号で進める前提で、次の表を作ってください。
列: 確認項目 / 根拠資料 / 資料の記載 / 判定(合致・不一致・未確認)
行: 契約の種類、予定価格、規則の基準額、見積金額、見積の有効期限
基準額は、添付の契約規則の該当条から取り、条文番号を併記してください。
予定価格と基準額の大小は、計算過程も示してください。

出力は、たとえば次のような形になります(数値は架空の例です)。

確認項目根拠資料資料の記載判定
契約の種類根拠資料案件概要資料の記載物品の買入れ判定合致
予定価格根拠資料積算書資料の記載1,320,000円判定合致
規則の基準額根拠資料契約規則(買入れ)資料の記載1,500,000円以下判定合致
見積金額根拠資料見積書A資料の記載1,298,000円判定合致
見積の有効期限根拠資料見積書A資料の記載記載なし判定未確認

「未確認」の行が、理由書を書く前に潰す宿題です。計算を伴う比較は、Claudeの出力を鵜呑みにせず、数字は職員が電卓や表計算で再計算します。

第8号なら、行を「最初の入札の予定価格」「今回の予定価格」「最初の履行期限」「今回の履行期限」「契約保証金」に替えます。変更が履行期限と契約保証金だけに収まっているかを、並べて確認します。

手順3: 理由書の骨子を起こす

突き合わせ表で不一致が消えたら、骨子を作らせます。

突き合わせ表と添付の理由書様式をもとに、理由書の骨子を作ってください。
- 根拠条文は、施行令167条の2第1項第○号の文言を引用する
- 理由は、表の「合致」の行だけを根拠に書く
- 「未確認」の事実は本文に書かず、末尾に確認事項として列挙する
- 様式にない見出しは足さない

「合致の行だけを根拠にする」と縛るのは、理由書に事実と異なる経緯が混ざるのを避けるためです。Claudeは、書き足りない箇所を、もっともらしい経緯で補うことがあります。ありもしない照会や協議の経緯を書かせない運用が、この一文の目的です。

理由書の前に、職員が確かめること

Claudeの下書きと突き合わせ表を受け取った段階で、職員が確かめる項目があります。

  • 引用された号の文言が、e-Govの条文と一字一句合っているか
  • 第1号なら、基準額が自分の自治体の規則の数字か。別表第五の上限枠を基準額と取り違えていないか
  • 契約を分けて金額を小さく見せていないか。同じ目的の契約を細切れにして第1号に収める発注は、契約規則の運用で別に問われます。Claudeに分割の事実を渡しておくと、突き合わせ表の段階で指摘させられます
  • 第3号、第4号なら、長の認定の資料が実際に手元にあるか
  • 第5号なら、緊急の必要が起きた日付と、競争入札に付せなかった理由が経緯の順に書けているか

存在しない資料やリンクを「ある」と言う癖への対処は、Claudeが「存在しないリンク」を送った/作成したと言う理由と対処法が参考になります。

任せない判断

次はClaudeの下書きの外に置きます。

  • どの号で随意契約を採るかの最終判断。条文の当てはめは、決裁を負う職員の責任です
  • 自治体の規則や要領との整合。規則に書かれた基準額や様式は、添えた範囲しかClaudeは知りません
  • 相手方の選定の妥当性。特定の相手方しか対応できないという主張の裏付けは、市場の調査や仕様の検討が要ります

そもそも調達にClaudeを使ってよい案件かどうかは、公共調達でClaude等生成AIが適用対象外になる条件で先に確かめます。入札側の書類は、入札仕様書と総合評価の審査項目案をClaudeで作る手順と、官公需情報ポータルの入札公告をClaudeで要件に分解する手順が先に扱っています。

つまずきやすい点

号の候補が多すぎて絞れない。手順1の出力は広く出させる設計です。絞るときは、案件概要の事実を足して再実行すると、「未確認」が減って候補が減ります。

様式の見出しとずれる。過去の決裁済みの理由書を見本として添え、見出しの順と用語を揃えるよう指示します。

基準額をClaudeが一般論で答える。規則の該当条を貼らずに聞くと、別表第五の枠をそのまま基準額として返す場合があります。回答に、引用元の条文番号を必ず併記させます。

金額の比較が合わない。税込と税抜の混在や、数量の単位違いが原因になりやすい箇所です。見積書の金額欄の表記を突き合わせ表の備考に書かせると、混在に気づけます。

まとめ

随意契約の理由書は、施行令第167条の2第1項の九つの号のどれに当たるかを、案件の事実と資料で説明する文書です。Claudeには、条文を貼って候補の号を挙げさせ、見積書や予定価格との突き合わせ表を作らせ、合致した事実だけで骨子を起こさせます。

号の最終判断、自治体規則との整合、相手方選定の妥当性は職員が担います。条文に見積書や理由書の語は出てこないため、様式と徴取のルールは、必ず自治体の規則から取ります。

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