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入札仕様書と総合評価の審査項目案をClaudeで作る手順

入札仕様書と総合評価の審査項目案をClaudeで作る手順

自治体の調達担当者がClaudeで仕様書案・評価基準・配点表(Excel)を起こし、過去公告との差分と要件の過不足まで点検する手順。総合評価方式の入札の法的な枠と、AIに任せない判断もまとめます。

入札仕様書と総合評価の審査項目は、調達の目的から逆算して組み立てる文書です。Claudeには、仕様書の骨子、評価項目、配点表(Excel)の下書きと、過去公告との差分・要件の過不足の点検を任せられます。落札者決定基準の確定や学識経験者への意見聴取は、これまでどおり職員の仕事です。

この記事では、総合評価方式の入札の法的な枠を押さえたうえで、Claudeに何を渡し、どの順で作らせ、何を人間が確かめるかを手順にします。

総合評価の審査項目に、法令が先に求めていること

総合評価は、価格だけでなく「価格その他の条件」で最も有利な申込みをした者を落札者とする方式です。自治体の根拠は地方自治法の施行令の第167条の10の2です。第1項は、予定価格の制限の範囲内で、価格その他の条件が自治体にとって最も有利な申込みをした者を落札者にできると定めています。

審査項目案を作る前に、同条の第3項から第6項が求める手続きを確認しておきます。

  • 総合評価方式の一般競争入札を行うときは、あらかじめ「落札者決定基準」を定める(第3項)
  • 落札者決定基準を定めるときは、総務省令に従い、あらかじめ学識経験者の意見を聴く(第4項)
  • その意見聴取で、落札者決定時に改めて意見を聴く必要があるかも併せて聴く。必要とされた場合は、落札者を決める際にも意見を聴く(第5項)
  • 公告には、総合評価方式による旨と、落札者決定基準も載せる(第6項)

Claudeが作る評価項目と配点表は、この落札者決定基準の「たたき台」にあたります。たたき台をそのまま公告に載せるのではなく、学識経験者の意見聴取にかける案として整えるのが現実的な位置づけです。

先に決めておく入力と環境

Claudeに渡す材料は、調達の目的、履行の範囲、予算の枠組み、スケジュール、庁内の制約(情報セキュリティポリシーなど)です。過去の公告や仕様書があれば、差分を見るために添えます。

入力する前に、次の3点を確かめます。

  1. 入れてよい情報か。公告前の予定価格や、特定の事業者名・見積内容は、庁内の情報取扱いルールで入力可否が決まります。線引きの考え方は自治体職員の生成AI利用と総務省ガイドラインで整理しています
  2. ファイル作成が使える環境か。Excelなどのファイル作成を含むコード実行は、Free・Pro・Max・Team・Enterpriseの全プランで、Web・デスクトップ・モバイルから使えます。TeamとEnterpriseでは組織の設定でオフにできるため、使えないときは管理者の設定が原因です
  3. 調達そのものが対象外にならないか。特定秘密などを扱うシステムでは、そもそも生成AIの利用可否が先に問われます。判断の入口は公共調達でClaude等生成AIが適用対象外になる条件にあります

ファイル作成の利用は、プランの利用上限から消費されます。通常のチャットよりも多く消費するため、仕様書全文と配点表を何度も作り直す使い方では上限に当たりやすくなります。

仕様書案と配点表を作る6ステップ

手順

調達の目的から審査項目案までの流れ

  1. 1

    調達の目的を一文にする

    何を、なぜ、誰のために調達するかを一文で書きます。Claudeには目的文の曖昧な箇所を指摘させ、成果物の定義を詰めさせます。

  2. 2

    仕様書の骨子を作る

    業務範囲、成果物、履行期間、必須要件を見出し単位で出させます。この段階では文章を詰めず、抜けている章を見つけることが目的です。

  3. 3

    必須要件と評価項目を分ける

    「満たさなければ失格」の要件と、「満たし方で点が変わる」項目を切り分けます。ここが曖昧だと、加点項目が実質的な必須条件になります。

  4. 4

    配点表をExcelで作る

    評価項目、評価の着眼点、配点、評価基準を表にします。合計点や価格点との合算式もワークシートに入れさせます。

  5. 5

    過去公告との差分を取る

    過去の公告・仕様書を添えて、変えた点と変えていない点を一覧にさせます。

  6. 6

    過不足を点検して人間が確定する

    要件と評価項目の対応、配点の偏り、競争性を損なう表現を点検させ、最終案は職員が決めます。

調達の目的から骨子を起こすプロンプト例

Claudeに渡す依頼は、目的・制約・出力形式を分けて書きます。次は業務委託を想定した例です。

自治体の業務委託の仕様書骨子を作ります。
目的: 住民向けオンライン申請の問い合わせ対応を外部委託する
履行期間: 契約締結日から1年間
制約: 住民情報は庁内システム内でのみ扱う
出力: 章立てと各章の記載事項。必須要件は別表にする
不明な点は推測せず、私への質問として最後にまとめる

最後の一行が肝心です。調達の前提が欠けたまま仕様書の体裁だけが整うと、抜けに気づけません。質問として返させれば、職員が埋める箇所が見えます。

配点表をExcelで作らせる

Claudeはチャット内でExcelファイル(.xlsx)を作り、ダウンロードまたはGoogleドライブへの保存ができます。公式のヘルプでは、数式の入ったExcelを作る例も示されています。ファイルの上限は、アップロードもダウンロードも1ファイル30MBです。

配点表は、列の設計で使い勝手が決まります。業務委託を想定した、架空の構成例を示します。

評価項目着眼点配点評価の基準
業務実施体制着眼点責任者と対応人数が履行期間を通して確保されているか配点20評価の基準提案内容を段階評価
個人情報の取扱い着眼点庁内ルールに沿った保管・持ち出し制限が示されているか配点15評価の基準提案内容を段階評価
類似業務の実績着眼点同規模の受託実績があるか配点10評価の基準実績件数で区分
障害時の対応着眼点連絡経路と復旧の手順が具体的か配点10評価の基準提案内容を段階評価

この表を作らせるときは、合計点のセルを数式にし、価格点との合算式も別シートに置くよう依頼します。値の直書きにしないことで、職員が配点を変えたときに合計が連動します。

作らせたあとは、次の確認を必ず挟みます。

  • 配点の合計が、案で決めた満点と一致しているか
  • 数式が参照しているセルの範囲が、行を追加しても崩れないか
  • 「段階評価」の各段階に、評価者が迷わない言葉の定義があるか

ヘルプには、出力を確認して手直しする前提が書かれています。数式の入ったファイルは見た目が整っているぶん、誤りに気づきにくい点に注意が要ります。

過去公告との差分を取る

過去の公告や仕様書(PDF・Word)をアップロードし、新しい案との差分を表にさせます。依頼では、次の3つの区分で出させると読み返しやすくなります。

  1. 削除・追加された要件
  2. 数値や期間が変わった箇所(履行期間、人数、配点など)
  3. 表現だけが変わり、意味が変わっていない箇所

3つ目を分けるのが効きます。表現の変更に紛れた意味の変更は、レビューで見落とされやすいためです。差分の結果は、必ず元の公告の該当箇所と突き合わせます。

過去の公告が複数年分あるときは、1ファイルずつ渡して年度ごとの差分を取らせ、最後に「要件が増え続けている項目」を拾わせる使い方もできます。Claudeは1回のチャットで複数のファイルを扱えるため、並べて比較する作業に向きます。

要件の過不足を点検する観点

仕様書の要件と評価項目を並べ、対応の抜けと偏りを点検させます。観点を指定すると、点検が具体的になります。

観点Claudeに確かめさせること
要件と評価の対応Claudeに確かめさせること仕様書の要件のうち、評価項目にも必須要件にも現れないものはないか
二重評価Claudeに確かめさせること同じ内容が複数の評価項目で加点されていないか
配点の偏りClaudeに確かめさせること一つの項目に配点が集中し、他の項目が実質的に意味をなさなくなっていないか
競争性Claudeに確かめさせること特定の製品名や事業者を前提にした書きぶりがないか
評価者間の揺れClaudeに確かめさせること段階評価の基準が、評価者によって解釈が分かれる言葉になっていないか

点検の結果は「指摘」として受け取ります。Claudeが問題なしと返した項目でも、仕様書の意図は職員にしか判断できません。過不足の最終的な判断は、調達の目的を知っている担当者が行います。

ここから先はClaudeに任せない

次の判断は、Claudeの下書きの範囲を越えます。

  • 落札者決定基準の確定。法令は、基準を定める前に学識経験者の意見を聴くことを求めています。Claudeの案は、意見聴取にかける素材です
  • 公告に載せる文言の最終確認。公告には総合評価の方法による旨と落札者決定基準を載せる必要があり、載せ漏れは手続きの瑕疵になりえます
  • 自治体ごとの規則との整合。契約規則や要綱、庁内の入札参加資格の定めは自治体で異なります。Claudeは貴庁の規則を知らないため、規則の条文を添えて照合させるか、担当課が確認します
  • 評価の採点そのもの。提案書の採点は評価者の判断です。採点の補助として要約を作らせる場合も、点は人間が付けます

セキュリティ面では、外部のファイルやWebサイトに紛れた指示でClaudeが意図しない動作をする可能性が、ヘルプで挙げられています。応募事業者から受け取ったファイルを読み込ませるときは、Claudeの動きを見ながら進め、不審な動作があれば止めます。TeamとEnterpriseではネットワークアクセスが既定で無効になっており、組織のオーナーが許可するドメインを管理できます。

つまずきやすい点

仕様書の文体が自治体の様式と合わない。庁内の様式がある場合は、過去の仕様書を見本として添え、章立てと用語を揃えるよう依頼します。

配点の根拠を問われる。配点の理由は、Claudeに説明文を書かせることはできても、意思決定の根拠にはなりません。着眼点と配点の対応を、担当課で説明できる形に直します。

差分の抜け。長い公告をまとめて渡すと、細部の変更が拾われにくくなります。章ごとに分けて差分を取る方法が安定します。

ベンダー見積もりとの整合。予定価格の積算や見積比較は別の作業です。見積もりの正規化はClaudeでベンダー見積もりを比較・正規化する方法で扱っています。

まとめ

総合評価の審査項目案は、調達の目的、必須要件、評価項目、配点を順に切り分けて作ります。Claudeは、骨子と配点表の起案、過去公告との差分取り、要件の過不足の点検に使えます。落札者決定基準の確定、学識経験者への意見聴取、公告の文言は、職員が担う部分です。

仕様書の書き方そのものを磨きたい場合は、Claudeで仕様書とロードマップを書くPM実務パターンの考え方も参考になります。

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