ClaudeをBedrockとGoogle Cloudで使う — API機能の対応差を比較
ClaudeのAPI機能をAmazon BedrockとGoogle Cloudで比較します。Web searchはGoogle Cloudだけ、Structured outputsは公式ページ間で記述が割れます。選び分けを表にしました。
Amazon BedrockとGoogle Cloud(Agent Platform)は、どちらもClaudeをクラウド事業者経由で呼び出せる経路です。ただしClaude APIの全機能がそのまま載るわけではなく、使える機能の集合が両者で違います。差がはっきり出るのは、Web searchツールとStructured outputsです。
この記事は、新規にAPIアプリを作る開発者が「どちらのクラウドで作り始めるか」を機能面で決められるように、公式の対応表を突き合わせます。Claude Codeの機能に絞った対応表はClaude Codeの機能比較にあります。ここではMessages APIを直接叩く場合を扱います。
結論: Web searchはGoogle Cloudだけ、残りの非対応はほぼ共通
| 機能 | Amazon Bedrock | Google Cloud |
|---|---|---|
| Messages API・プロンプトキャッシュ・Thinking | Amazon Bedrock対応 | Google Cloud対応 |
| Citations | Amazon Bedrock対応 | Google Cloud対応 |
| Web searchツール | Amazon Bedrock非対応 | Google Cloud対応(基本版のみ) |
| Structured outputs | Amazon Bedrock記述が割れる(後述) | Google Cloud対応 |
| Browser useツール | Amazon Bedrock非対応(新ツールセット) | Google Cloud対応 |
| Files API・URL入力 | Amazon Bedrock非対応 | Google Cloud非対応 |
| Message Batches | Amazon Bedrock非対応 | Google Cloud非対応 |
| MCP connector・Agent Skills | Amazon Bedrock非対応 | Google Cloud非対応 |
Web searchとStructured outputsの2つがGoogle Cloud側に寄っています。逆にBedrockだけが持つ機能は、両者のFeature support節を並べても見当たりません。Bedrockに固有の価値は機能ではなく、AWSの認証・課金・ガバナンスに乗れる点にあります。その話はAmazon Bedrockでの使い方にまとめてあります。
両方で使える機能と、両方で使えない機能
共通して使える機能
どちらのFeature support節にも、次の機能が対応として並びます。
- Messages API
- プロンプトキャッシュ
- Thinking
- ツール使用(Bashツール、Computer useツール、Memoryツール、Text editorツールを含む)
- Citations
クライアント側で完結するツールは通ります。ツールの実行を自分のコードが担う設計なら、どちらのクラウドでも土台は同じです。
両方で使えない機能
次の機能は、BedrockとGoogle Cloudの双方で非対応と明記されています。
- 入力ソース: 画像・ドキュメントのURL指定、Files API
- サーバーサイドツール: コード実行、Web fetch、advisor
- エージェント基盤: Agent Skills、MCP connector、プログラムからのツール呼び出し
- APIエンドポイント: Message Batches、Models、Admin、Compliance、Usage and Cost
- Claude Managed Agents
- サーバーサイドの
fallbacksパラメータ
fallbacksは、クライアント側でフォールバックする書き方に置き換える前提です。大量バッチ処理を安く回したい場合も、Message Batchesが使えないので、どちらのクラウドでも通常のリクエストを並列に投げる形になります。画像やPDFはURLで渡せず、Base64などで本文に含めて送ります。
差が出る機能1: Web search
Web searchツールは、Google Cloudでは対応、Bedrockでは非対応です。Web searchのページにも「Amazon Bedrockでは使えない」と書かれています。
ただしGoogle Cloudで使えるのは基本版に限られます。web_search_20260209以降が持つ動的フィルタリング(検索結果をコードで絞り込んでからコンテキストに入れる仕組み)は、Google Cloudの対象外です。バージョン別の違いは、Web searchのツール種別ごとに次のとおりです。
| ツール種別 | 追加される機能 | Google Cloud |
|---|---|---|
web_search_20250305 | 追加される機能基本のWeb search | Google Cloud利用可 |
web_search_20260209 | 追加される機能動的フィルタリング | Google Cloud対象外 |
web_search_20260318 | 追加される機能レスポンス包含の制御 | Google Cloud対象外 |
動的フィルタリングの仕組みとデータ保持の扱いはweb_searchのdynamic filteringとZDRで扱っています。Google Cloudで検索を使うなら、max_usesで1リクエストあたりの検索回数を絞る設計が、トークン消費を抑える手段の中心になります。
Vertex側の呼び出し例は次のとおりです(公式の初回リクエストの形にツール定義を足した例)。
from anthropic import AnthropicVertex
client = AnthropicVertex(project_id="MY_PROJECT_ID", region="global")
message = client.messages.create(
model="claude-opus-5-5",
max_tokens=1024,
messages=[{"role": "user", "content": "今週のClaudeの公式発表をまとめて"}],
tools=[{"type": "web_search_20250305", "name": "web_search", "max_uses": 3}],
)Bedrockでは同じリクエストのWeb searchが使えないため、検索は自分のコードで別の検索APIを呼び、結果をプロンプトに渡す構成になります。この構成は検索の呼び出し元と課金が自前になり、Claude側のCitationsと結びつける設計も自分で組むことになります。
差が出る機能2: Structured outputs
Structured outputs(output_config.formatによるJSON出力の保証と、strict: trueによるツール入力の検証)は、Google Cloudで対応です。Bedrockは、公式ページの記述が2か所で割れています。
- BedrockのFeature support節: 「非対応の機能」にStructured outputsが挙がる
- Structured outputsのページ: Amazon Bedrockを対応プラットフォームに含め、Opus 4.6、Sonnet 4.6、Sonnet 4.5、Opus 4.5、Haiku 4.5で使えると注記する
Bedrockの対応ページは、/anthropic/v1/messagesを呼ぶ新しいエンドポイント(bedrock-mantle)の説明です。従来のInvokeModel・ConverseによるBedrock統合(Opus 4.6以前)は、別ページに切り出されて残っています。Structured outputs側の注記が挙げるモデルはすべて4.x世代です。両者が旧統合と新エンドポイントの違いに対応しているように見えますが、公式はその対応関係を明記していません。どちらが自分の呼び出し経路に当たるかは、この記述だけでは断定できません。
実務上の扱いは次のとおりです。
- Bedrockでは、使うモデルとエンドポイントの組み合わせで
output_config.formatを付けた最小リクエストを先に実行し、エラーの有無を確かめる - 通らない場合に備え、プロンプトで形式を指定してクライアント側でスキーマ検証する
2のクライアント側検証は、Bedrock・Google Cloud共通の保険にもなります。次のようにPydanticで受ける形が一例です。
from pydantic import BaseModel, ValidationError
class Contact(BaseModel):
name: str
email: str
demo_requested: bool
try:
Contact.model_validate_json(message.content[0].text)
except ValidationError:
... # 再試行、または別モデルへクライアント側でフォールバックStructured outputsのスキーマ制限とSDKによる自動変換はStructured outputsのJSON Schema制限に詳しくあります。Google Cloudで使う場合も、この制限がそのまま効きます。
コンテキスト長・ペイロード・クォータ
| 項目 | Amazon Bedrock | Google Cloud |
|---|---|---|
| 1Mトークンのコンテキスト | Amazon Bedrock対象モデルの一覧はこのページに記載なし(Claude Code経由ではSonnet 5・Opus 4.6以降・Sonnet 4.6が対応) | Google CloudFable 5.1 / Fable 5 / Opus 5.5 / Opus 5 / Opus 4.8 / Opus 4.7 / Opus 4.6 / Sonnet 5.5 / Sonnet 5 / Sonnet 4.6 |
| リクエスト上限 | Amazon Bedrock記載なし | Google Cloud30MB |
| 既定クォータ | Amazon Bedrock入力200万トークン/分 | Google Cloud記載なし |
| リージョン指定の追加料金 | Amazon Bedrock10% | Google Cloud10%(Sonnet 4.5以降) |
Google Cloudでは、上記の10モデルが1Mトークンのコンテキストを持ち、Sonnet 4.5など他のモデルは20万トークンです。PDFや画像を大量に載せる場合は、トークン上限より先に30MBのペイロード上限に当たることがあります。
BedrockのAPIページには1Mの対象モデル一覧がありません。ただしBedrockでも1Mは使えないわけではなく、Claude Codeから使う場合はSonnet 5・Opus 4.6以降・Sonnet 4.6が対象で、モデルIDの[1m]サフィックスで有効にします。手順はBedrockとVertexで1Mコンテキストを有効にする方法にあります。Messages APIを直接呼ぶ場合の対象は、このページからは確認できないため、使うモデルで実際に試すのが確実です。
Bedrockの既定クォータは入力200万トークン/分で、Anthropicの追加承認なしに入力500万・出力50万トークン/分まで引き上げを依頼できます。RPM(毎分リクエスト数)の制限はAWS側が課すので、上げたい場合はAWSサポートに問い合わせる形です。
リージョンの考え方も違います。Bedrockのグローバルエンドポイントは追加料金なしで、単一リージョン指定のリージョナルエンドポイントには10%の上乗せがあります。Google Cloudもグローバルエンドポイントは上乗せなしで、マルチリージョンとリージョナルに10%かかります。日本国内のデータ所在地要件がある場合の選び方はClaudeを日本から使う提供経路が別の角度から整理しています。
Computer useとBrowser use
- Bedrock: Computer useツールは対応。ただし新しいツールセット(
computer_toolset_20260801、browser_toolset_20260801)は使えず、ベータ版のComputer useツールが引き続き使える - Google Cloud: Computer useツールとBrowser useツールが対応機能に並ぶ
Bedrockでは新ツールセット(browser_toolset_20260801)が非対応の欄に入っています。ブラウザ操作を組み込むエージェントは、Google Cloud側のほうが構成の制約が少ない状態です。
選び分けの早見表
| 作りたいもの | 向く経路 | 理由 |
|---|---|---|
| 最新のWeb情報を引くQ&A・調査 | 向く経路Google Cloud | 理由Web searchが使える(基本版のみ) |
| JSONを必ず返すデータ抽出 | 向く経路Google Cloud | 理由Structured outputsが対応と明記されている |
| 長い資料の一括要約(数十万トークン) | 向く経路どちらも可(対象モデルを確認) | 理由Google Cloudは上記10モデルで1M、30MB上限に注意。BedrockもClaude Code経由なら1M対応 |
| ブラウザ操作を伴うエージェント | 向く経路Google Cloud | 理由Browser useツールが対応機能に載る |
| 既存のAWS基盤・IAMに寄せたい社内アプリ | 向く経路Bedrock | 理由機能差より認証・監査の一元化が決め手になる |
| Files API・Batches・MCP connectorが必須 | 向く経路どちらも不可 | 理由両方で非対応。Claude APIへの直接接続を検討 |
どちらのクラウドにもClaude APIの直接接続のほうが機能は多く、Claude Platform on AWSのようにAnthropicが運営するAWS経路もあります。この違いはClaude Platform on AWSの記事が扱っています。
選ぶ前に自分で確かめる3点
対応表は更新されるため、次の3点は自分の環境で実行して確認するのが確実です。
- 使うモデルIDで、必要な機能を付けた最小リクエストを1回通す(モデルIDの表記はBedrockが
anthropic.接頭辞付き、Vertex側はclaude-opus-5-5のようにそのまま) - 長い資料を扱うなら、Google Cloudでは1Mトークンの対象一覧に自分のモデルが入っているかを見る。Bedrockでは1Mが通るかを実際に試す
- モデル世代を上げる予定があるなら、Claude Codeの
/claude-api migrateが、クラウド事業者ごとのモデルID形式と機能差を見て置換してくれる
3つ目は、Bedrock・Google Cloudの双方の公式ページに案内があります。
まとめ
Web searchとStructured outputsを使いたいなら、Google Cloudが選びやすい状態です。ただしWeb searchは基本版のみで、動的フィルタリングは使えません。Bedrockは、この2機能が対応表で欠けるか、ページ間で記述が割れます。
Files API、Message Batches、MCP connector、Agent Skills、Managed Agentsは、どちらのクラウドでも使えません。これらが要件に入っているなら、クラウド経由ではなくClaude APIとの直接接続が候補になります。
機能差で決まらない場合は、認証とデータ所在地の要件が決め手になります。AWSに寄せているならBedrock、Google Cloudに寄せているなら機能面でも有利、という整理が、公式の記述から読み取れる範囲です。