ClaudeとCrunchbaseを連携する方法 — 未上場企業の資金調達を調べる
Crunchbaseの企業・資金調達データをClaudeから引くConnectorです。必要なMCPシート、接続手順、16個のツールの使い分け、競合の資金調達を調べる依頼の型をまとめます。
CrunchbaseのConnectorは、未上場企業の資金調達・投資家・経営陣のデータを、Claudeの会話から直接引けるようにします。「この競合は直近いくら調達したか」「シードからシリーズAに進んだ会社を条件で絞る」といった調べものが、検索画面を開かずに済みます。ただし使うにはCrunchbase側でMCPのシートを割り当てられている必要があり、Claudeの無料プランで接続画面までは進めても、データが返るかどうかはCrunchbaseの契約で決まります。
ClaudeとCrunchbaseの連携とは — 何が引けるのか
Crunchbase MCPは、Crunchbaseが提供するMCPサーバー(https://mcp.crunchbase.com)です。Claudeのコネクタ一覧では「Anthropic verified」と表示され、カテゴリはData & analytics、Financial services、Productivity、Sales & marketingに分類されています。一覧への追加は2026年8月です。
提供元の説明では、Crunchbase APIで使えるデータがそのままMCP経由で使えます。会社プロフィール、資金調達ラウンド、人物、投資家、買収に加え、Crunchbaseの予測(predictions)と洞察(insights)も含まれます。用途として挙がっているのは次の5つです。
Crunchbase MCPの用途
企業を素早く調べる
商談前のブリーフとして、資金調達履歴・経営陣・競合を1回の回答で受け取ります。
条件で絞り込む
「直近60日にシードかシリーズAを調達した米国のフィンテック」のように、日本語や英語の文章で条件を書きます。
資金と投資家の動きを追う
ある領域に誰が投資しているか、ラウンド規模がどう推移しているかを辿ります。
市場の地図を作る
セグメントの混み具合や資金の集まり方を見て、キーワード検索では漏れる会社を拾います。
調査結果をリストに残す
見つけた会社をCrunchbaseのリストに保存し、チームで追跡できる状態にします。
上場企業の株価や決算を引くコネクタではありません。主な守備範囲は、公開情報が少ない未上場企業と、その周辺の投資家・資金の流れです。
使う前に要る契約 — MCPシートとCrunchbase Business
接続の画面は無料プランでも開きますが、データを返してもらうにはCrunchbase側の権限が要ります。ここが他のコネクタより引っかかりやすい点です。
- MCPはワークスペース単位で購入し、ユーザーごとに「MCPシート」を割り当てる
- シートを割り当てる前に、そのユーザーのBase ProductをCrunchbase Businessにしておく
- シートを割り当てられるのは、ワークスペースのOwnerとAdminだけ
- 1つのシートを複数人で共有することはできない。接続は、サインインした個人に紐づく
- MCPのクオータとAPIのクオータは別。MCPを使ってもAPIの枠は減らない
- MCPシートにはCrunchbaseで最上位のデータアクセスが付き、予測と洞察も含まれる
Claude側の条件は軽く、Crunchbaseのドキュメントは「無料のClaudeプランでもコネクタを追加できる」としています。Team・Enterpriseでは、組織の管理者がコネクタを有効にしないとメンバーが追加できない場合があります。
つまり、チームで使うなら「Claudeのプラン」より先に「Crunchbaseの管理者にシートを頼む」ことが段取りの最初になります。シートが無いまま接続すると、サインインは通るのにエージェントがデータにアクセスできない状態になります。
落とし穴
サインインできたのにデータが返らない
原因として最初に疑うのは、Crunchbase側の権限です。ワークスペースのOwnerかAdminに、Base ProductがCrunchbase Businessになっているか、MCPシートが割り当てられているかを確かめてもらいます。シートを外した場合も、割り当て直せば新しい接続にすぐ反映されます。
接続の手順 — Claude、Claude Code、手動追加
Claudeのコネクタ一覧から追加する場合は、次の流れです。
Claude(web・デスクトップ)で追加する
- 1
コネクタ一覧でCrunchbaseを開く
コネクタのディレクトリでCrunchbaseを検索し、「Add to Claude」から追加します。
- 2
Crunchbaseのアカウントでサインインする
認証はOAuth 2.1です。Crunchbaseのパスワードを入れるのはCrunchbaseのサインイン画面だけで、Claudeには渡りません。
- 3
Allowで許可する
Crunchbase側がMCPアクセスの有無を確かめ、あれば接続が完了します。
- 4
テスト質問を投げる
新しい会話で、Anthropicの調達総額と直近ラウンドの主導者を尋ねます。具体的な数字が返り、Crunchbaseのツールを呼んだ表示が出れば成功です。
追加したコネクタはClaudeアカウントに紐づくので、Webでもデスクトップでもモバイルでも使えます。
Claude Codeは、Claude.aiのサブスクリプションでサインインしていれば、Claude.aiで追加したコネクタが自動で使えます。/mcp を実行して、一覧にCrunchbaseが「Claude.aiから来たもの」として出ていれば連携できています。出ないときは /status で認証方式を確認します。ANTHROPIC_API_KEY、ANTHROPIC_AUTH_TOKEN、apiKeyHelper、Amazon Bedrock、Google Vertex AIなどを使っている間は、Claude.aiのコネクタは読み込まれません。
Claude.aiのログインを使えない環境では、MCPサーバーを直接追加します。
claude mcp add --transport http --scope user \
crunchbase https://mcp.crunchbase.com追加後にClaude Codeを起動し、/mcp で crunchbase を選んでブラウザでサインインします。手動で追加したサーバーは、同じエンドポイントを指すClaude.aiのコネクタより優先されます。/mcp でコネクタが「hidden」と出たときは、重複を避けたい側を消します。
接続が輪になって進まないときは、コネクタを一度外して入れ直します。手動追加ならURLが https://mcp.crunchbase.com と完全に一致しているかも見ます。
16個のツールをどう使い分けるか
コネクタが公開するツールは16個です。ふだんはClaudeが自動で選ぶので名前を打つ必要はありませんが、結果が変なときの切り分けに役立ちます。Crunchbaseのツール参照ページでは、ツールは「期待する順序」で並べられています。
| 段階 | 目的 | ツール |
|---|---|---|
| 1 | 目的スキーマを知る | ツールcb_reference、cb_expert_query_domain |
| 2 | 目的名前を識別子にする | ツールcb_entity_autocomplete、cb_expert_resolve_entity |
| 3 | 目的探す・答える | ツールcb_expert_build_search、cb_search_query、cb_expert_query_answer |
| 4 | 目的プロフィールを取る | ツールcb_entity_get |
| 5 | 目的リストに残す | ツールcb_list_create、cb_list_add_entities、cb_list_query、cb_list_get |
残りは cb_metering_get_state(利用上限の状態)、cb_expert_submit_feedback、cb_expert_submit_search_feedback、cb_knowledge_center です。後ろの2つは、ツール参照ページに説明がありません。
ツールは大きく2系統に分かれます。
- エキスパート系: 文章で聞くと、スキーマの解決まで内部で済ませて答えや検索条件を返す。探索や単発の調べものに向く
- 構造化系: 項目ID・演算子・値を明示して実行する。結果が決定的で、繰り返しや網羅性が要る作業に向く
Crunchbaseは、繰り返す作業では先にエキスパート系で正しい検索条件の形を探り、その条件を cb_search_query でそのまま回す運用を勧めています。毎週同じ「新規調達の監視」を回すなら、この二段構えが再現性の面で安全です。
プロフィール取得の cb_entity_get は、ツール群で最もコストが大きい呼び出しです。大手投資家のように関連エンティティが多いと、1回の応答が非常に大きくなります。まず cb_search_query で項目を絞って候補を出し、残った会社にだけ cb_entity_get を使うのが推奨の運用です。
競合・未上場企業の資金調達を調べる依頼の型
依頼文は、条件・期間・並べ方まで具体的に書くほど安定します。提供元は「best」「most notable」のような曖昧な語を避け、「最新の」「調達額が最大の」「投資件数の上位3社」のように選び方を指定するよう勧めています。
競合調査で使いやすい型を3つ挙げます。いずれもCrunchbaseのドキュメントにある書き方を、競合調査向けに組み替えた例です。
競合A社の直近の資金調達ラウンドを調べて。
ラウンド種別・発表日・調達額・主導投資家を、
Crunchbaseのデータだけで答えて。
欠けている項目は「なし」と書いて。1つ目は競合1社の確認です。末尾の「Crunchbaseのデータだけで」は、提供元が挙げる「データのみの回答」を求める言い方です。広い質問は一般論の補足を呼びやすく、その部分はCrunchbaseに由来しない可能性があります。
米国本社で、直近60日にシードまたはシリーズAを
調達したフィンテック企業を探して。
調達額の大きい順に20社、会社名・調達額・
主導投資家・Crunchbaseのプロフィールのリンクを表にして。2つ目は、新規参入者の洗い出しです。検索結果の各エンティティにはCrunchbaseのプロフィールURLが付くので、リンクを出力に含めさせると、Claudeの回答から元データへ戻れます。
上の20社のうち、調達額上位5社をCrunchbaseのリスト
「競合ウォッチ」に保存して。3つ目は、結果を残す依頼です。リストはCrunchbase側に保存されるため、会話が終わってもチームで見続けられます。
「成長のシグナル」を調べたいときは、調達の頻度・ラウンドの進み具合・投資家の顔ぶれの変化を、期間を区切って聞くと答えが揃います。Crunchbaseの予測や洞察はMCPシートに含まれると説明されていますが、個々の予測項目の名前や意味は、ツール参照ページには載っていません。予測を使うときは、cb_reference や cb_expert_query_domain で「どの項目が答えられるか」を先に確かめるのが確実です。
提供元が出している cb_search_query の最小例も参考になります。ラウンドの発表日、種別、本社所在地を条件にした検索です。
{
"collection_id": "funding_rounds",
"predicates": [
{"field_id": "announced_on", "operator_id": "gte",
"values": ["2026-06-01"]},
{"field_id": "investment_type", "operator_id": "includes",
"values": ["seed", "series_a"]},
{"field_id": "funded_organization_location",
"operator_id": "includes", "values": ["united-states"]}
],
"limit": 50
}所在地の値は "United States" ではなく "united-states" というパーマリンクです。この違いが、次の節で扱う最頻のつまずきになります。
検索結果が空になるとき — 識別子を疑う
Crunchbaseのツールは、表示名ではなく識別子(UUIDとパーマリンク)で動きます。名前を条件に使うときは、先に cb_entity_autocomplete か cb_expert_resolve_entity で識別子に直す必要があります。ドキュメントは、次の3つを守るよう求めています。
- 識別子を推測で作らない。必ずツールの結果から取る
- 所在地やカテゴリの値は、表示名ではなくパーマリンクを使う
- 検索が0件のときは、フィルタを1つずつ緩める。識別子を取る項目から疑う
表示名を渡してもエラーにはならず、単に何にも一致しないだけです。「0件」を「該当会社がない」と読むと誤ります。
0件・的外れのときの切り分け
- Q所在地・カテゴリの値は識別子(パーマリンク)になっているか?答えがいいえ答えがはい
cb_entity_autocompleteにcollection_idsでlocationsかcategoriesを指定して、返ってきた値に差し替えます。 - Q項目ごとの演算子と値の形を確かめたか?答えがいいえ答えがはい
cb_referenceで項目の詳細を引き、使える演算子と例を確認します。金額は15000000のような整数のUSD、日付は2026-06-01の形式です。 - QClaudeがコネクタを使わずに答えていないか?答えがいいえ答えがはい
「Crunchbaseを使って答えて」と明示します。コネクタが有効になっているかも確認します。
それでも合わないとき
cb_metering_get_state で利用上限に当たっていないかを見ます。エキスパート系の答えが間違っていれば、cb_expert_submit_feedback に否定評価を付けると、サービス側がクエリを書き直して再提示することがあります。
書き込みを伴うリストのツールは承認制にしておく
16個のうち、データを書き換えるのはリスト系の cb_list_create と cb_list_add_entities です。AIが作ったリストはCrunchbase上でチーム全員から見えるため、誤ったリストが共有資産に混ざる可能性があります。ツール単位の権限設定があるクライアントでは、運用が固まるまでリスト系を手動承認にしておく運用が、提供元から勧められています。
ヘッドレスのエージェントやバックエンドサービスのように、対話的なサインインを伴わない接続は、別の取り決めになります。MCPサーバーを無人で動かす用途は、Crunchbaseの担当者への相談が前提です。
Cowork営業プラグインやHubSpot連携との使い分け
「商談前の調査」を自動化する手順は、Cowork Sales pluginのaccount-researchが扱っています。あちらは調査の流れを自動化する仕組みで、このコネクタは調べる材料(資金調達や投資家のデータ)の入口という違いがあります。両者を組み合わせると、「Crunchbaseで調達状況を引き、その結果を商談前ブリーフに載せる」流れになります。
CRMの商談データと突き合わせたいときは、Claude HubSpot連携と併用できます。Crunchbaseのドキュメントも、CRMのコネクタと組み合わせて使う使い方を挙げています。
競合の「資金」ではなく「集客」を見たいなら、ClaudeとSimilarwebの連携がトラフィックの側を、ClaudeとG2の連携がレビューの側を受け持ちます。調達額が伸びている競合のサイト流入や評価が実際に動いているかは、別のデータ源を並べて初めて見えます。コネクタ全般の種類はClaude Connectorsの一覧で確認できます。
まとめ
Crunchbaseコネクタの接続自体は数分で終わりますが、実際にデータが返るかどうかは、Crunchbase側のMCPシートとCrunchbase Businessの有無で決まります。先に管理者へシートを頼み、次にClaudeで追加し、テスト質問で動作を確かめる順序が確実です。
使い始めたら、依頼は条件・期間・並べ方を明示します。まずエキスパート系で検索条件の形を探り、繰り返す作業は構造化検索に移します。0件の結果は、所在地やカテゴリが識別子になっているかを最初に疑います。リスト保存は共有資産を書き換える操作なので、承認を挟んでおくと安心です。