ClaudeとPolar Analyticsを連携する方法 — EC広告のROASとCACを揃えて聞く
Polar AnalyticsコネクタでShopifyやMeta広告のデータをClaudeに聞く手順です。ROASとCACの帰属基準をそろえるプロンプトの型、ツール一覧、権限とワークスペースの注意点をまとめます。
Polar AnalyticsコネクタでClaudeに何を聞けるようになるか
Polar Analyticsコネクタは、ECブランド向けのデータ基盤Polar Analyticsが提供するConnectorです。Shopify、Meta、Google、Klaviyoなど45以上のデータ源を一つの「セマンティックレイヤー」にまとめ、そこへClaudeが問い合わせます。Claudeのディレクトリでは「Anthropic verified」の表示が付き、カテゴリーは「Data & analytics」、サインインは必須、追加は2026年5月です。接続先のURLは https://api.polaranalytics.com/mcp です。
聞ける内容は、ROAS、CAC、売上上位のSKU、利益率などです。ディレクトリの説明は、生のAPI値ではなく「検証済みの指標、事業側のルール、プラットフォームをまたぐ帰属」にもとづいた答えが返ると書いています。
つまり主題は、広告媒体ごとの管理画面を順に開く作業の代替ではありません。ROASやCACの定義を一度決めておき、毎回同じ物差しで答えさせることにあります。
Klaviyoだけを単体でつなぐ場合はClaude Klaviyo連携の使い方が入口です。この記事は、Klaviyoを含む複数のデータ源が集まったあとの層につなぐ話です。
接続の手順
チームプランと個人プランの違いは、ディレクトリで「チームに追加」するか、その場で「Connect」を押せるかだけです。
Claudeに接続するまでの流れ
- 1
ディレクトリでPolar Analyticsを開く
Claudeのコネクタディレクトリでコネクタを探し、チームプランでは先に組織へ追加します。個人プランでは追加の手順を挟まず、そのまま接続できます。
- 2
Customize の Connectors から Connect を押す
未ログインならPolarのログインか新規登録を選びます。新規登録の場合はメール確認のあと、Claudeに戻って接続が完了します。
- 3
Polar側のデータ源を同期する
Polarを初めて使う場合は、データ源の接続を求められます。少なくとも一つのデータ源の同期完了メールを待ちます。新規顧客の初回の履歴同期には最大24時間かかることがあります。
- 4
新しいチャットで有効にして、ツールを許可する
チャットでPolarのコネクタを有効にし、初回はツールの実行を許可します。そのうえで、自分のアカウントの数字を答えさせる質問を入れます。
SlackのClaude tagから使う場合は、ディレクトリではなく管理設定の「Access Bundles」で「Connect an app」を選びます。名前にPolar Analytics、認証の種類にBearer、許可するサイトに api.polaranalytics.com を入れます。トークンはPolarの app.polaranalytics.com/mcp ページに表示される tenant_id|service_token 形式の値で、カスタムヘッダーのAuthorizationに token の接頭辞付きで貼ります。
公開されている11のツール
ディレクトリは次の11個のツール名を並べています。役割がPolarのドキュメントに書かれているものを下の表に載せ、残りは名前の列挙にとどめます。
| ツール | Polarのドキュメントで分かること |
|---|---|
get_context | Polarのドキュメントで分かること会話ごとの conversation_id を返す。ほかのツールの必須引数 |
generate_report | Polarのドキュメントで分かること指標・ディメンション・期間を指定して、行データと合計行、Polarへのリンクを返す。日常の中心 |
list_dimensions | Polarのドキュメントで分かること指標を渡すと、使える内訳・フィルタ・ビュー・設定(帰属モデルなど)を返す |
get_dashboard_details | Polarのドキュメントで分かることダッシュボードIDを渡して詳細を取る |
get_view_details | Polarのドキュメントで分かることビュー名を渡して詳細を取る |
rate_report | Polarのドキュメントで分かること1〜10の評価を送る |
list_dashboards、get_dimension_values、get_metrics、get_custom_dimension_details、generate_app_report_link の5つは、ディレクトリに名前だけが載っていて、説明文がありません。用途は名前から決めつけず、ClaudeのSettingsのConnectorsにあるPolarのConfigureでツール説明を開いて確かめられます。
Polar側のTipsは、Claudeが実際に呼んだ generate_report の引数を開いて、期間・指標・内訳を確認する習慣を勧めています。
「ROASとCACを揃える」とは何を揃えることか
広告のROASは、数字の出どころによって値が変わります。同じ週でも、Metaの管理画面が出す値、GA、Polar独自のピクセルが出す値は一致しません。Polarのプロンプト集は、プラットフォームの報告値は二重計上や過少計上が起こりうると書いています。一方でPolar Pixelはクリックの二重計上を避ける複数接点の帰属を使い、ビュースルーは拾えません。
揃えるべき点は次の3つです。
聞く前に決めておく3つの物差し
帰属の基準
Polar Pixel、プラットフォーム報告、GAのどれを主指標にするか。プロンプト集は、広告指標には必ず基準を併記させる運用を例にしています。
指標の種類
プラットフォーム側は
paid_roas、Polar Pixel側はpixel_roasとpixel_cacというキーで扱われます。同じ「ROAS」でも別の指標です。比較する期間
直近7日を、その前の7日と365日平均に当てる例があります。期間を毎回指定しないと、Claudeが別の範囲を仮定します。
もう一つ効くのが、事業側の言葉の定義です。PolarのAsk Polarには「AI Instructions」があり、たとえばDTCをどのチャネルに限るか、主要な収益指標をどれにするかを一度書けます。この説明はAsk Polar向けです。Claudeに同じ定義を伝えるには、プロジェクトの指示に書く形になります。
ROASとCACを同じ物差しで聞くプロンプトの型
Polarのヘルプは、単発のチャットよりClaudeの「プロジェクト」を勧めています。指示、文脈、定義が会話をまたいで残り、ハルシネーションと数字の再確認が減るという理由です。Media Buying Health Checkのプロンプトも、プロジェクトのInstructionsに貼る前提で書かれています。
以下は、その考え方を最小にした書き方の例です(Polarのプロンプト集の構成に沿った形で、そのままの全文ではありません)。
直近7日の広告の健全性を、前の7日と365日平均と比べて出す。
- ROAS・CACは Polar Pixel の指標を主とする(pixel_roas, pixel_cac)
- プラットフォーム報告のROASは別列で併記し、列見出しに
「Pixel」「Platform」のどちらかを必ず書く
- 認知目的のキャンペーンは、コンバージョン指標で良し悪しを決めない
- 新規顧客と既存顧客を分けて出す
- 推定値・予測値は出さない。出せない項目は空欄にして理由を書く使い方は、プロジェクトを作って上の内容をInstructionsに置き、新しいチャットで「レポートを出して」と頼むだけです。続けて深掘りの質問をしたり、指示を書き換えたりできます。
聞き方の例は、Polarのヘルプに次のような質問が載っています。
- 2020年から2025年の通年で、請求先住所の上位5都市別に純売上を年ごとに並べて
- 2025年8月の英国向け広告費はいくらか
- 先月のEU全体の売上は
- ダッシュボード名とレポート名を指定して、そのレポートの要約を
英国向けの質問は、Polar側に「UK」というビューを作っていれば、それがフィルタとして使われます。Polar側で作ったビューと指標は、Claudeの質問の語彙になるということです。
返ってきた数字を確かめる手順
数字の検証は、答えの文面ではなくツール呼び出しで行います。Polarのヘルプには、Claudeが期間を「1月1日から14日」と仮定して答えた例が出てきます。呼ばれた generate_report を開けば、期間、指標、ディメンションがそのまま見えます。
- 期間の開始日と終了日が、頼んだ範囲と一致しているか
- 指標のキーが、狙ったもの(
pixel_roasかpaid_roasか)か - 内訳とフィルタに、意図しない絞り込みが入っていないか
ずれていたら、プロジェクトの指示に「期間は必ず確認してから出す」と足すのが次の一手です。
利益率まで掘る使い方
ROASが高くても利益が出ているとは限りません。PolarのProfitability Deep-dive Promptは、総売上から返品・値引きを引いた純売上、原価、配送費、マーケ費、プラットフォーム手数料と順に引き、貢献利益(CM1〜CM4)の段階まで出す構成を例にしています。商品別・チャネル別・新規と既存別・地域別に切り、POAS(広告費に対する利益)も見ます。
この型で効くのは、数字の順序が決まっていて、どの段で利益が減るかが読めることです。入力として運営費を含めるか、目標の純利益率を何%にするかを先に決め、期間は直近の四半期と月初来を既定にしています。
CACの目安に迷うときのため、Health Checkのプロンプトは「目標が無ければ使う枠組み」も書いています。180日LTVに対し、積極成長はCACを最大100%、バランス型は50%(LTV:CAC比2倍)、利益重視は33%(同3倍)に置きます。自社の目標値が決まっているなら、プロジェクトの指示で上書きします。
権限とデータの扱い
Polar側のヘルプは、ClaudeのPolarへの問い合わせは読み取り専用で、Claudeとの会話内容がPolarに残ることはないと説明しています。会話がほかの人に見えるのは、Claudeの共有機能で自分から共有したときだけです。
守る範囲はClaude側とPolar側の二層です。
- Claude側: CustomizeのConnectorsでPolarを選ぶと、ツールごとに「Always allow」「Needs approval」「Blocked」を選べます。チーム・Enterpriseプランでは、オーナーが組織全体で読み取りだけに絞ることもできます
- Polar側: 既定のロールはAdmin、Analyst、Viewer、Connectorの4種です。カスタムロールでは、データの探索やAIの利用(Ask Polarの許可)をロールごとに切れます
ワークスペースが複数ある人は注意が要ります。PolarのMCPは、いまPolarにログインしているワークスペースのデータを読みます。切り替えは、Polarのアプリ左上のスイッチャーで行い、Claude側の操作では変わりません。複数ストアの比較では、どのワークスペースを見ているかを先に確かめます。
プライバシーの扱いは、Claudeのプランで変わります。Polarのヘルプは、顧客データを含む場合にチーム・Enterprise・APIといった商用プランを勧め、ProやFreeは消費者向けの扱いになると注意しています。契約の細部は、自社が使うプランのプライバシー設定で確かめてください。
ほかの広告系コネクタとの使い分け
Polarは、広告媒体やETLの窓口ではなく、ストアの売上と利益を事業定義で集計した層です。近い目的のコネクタとは、入口が違います。
| 目的 | 入口の例 |
|---|---|
| 売上・利益・SKUを事業定義でそろえて聞く | 入口の例Polar Analytics |
| 複数の広告媒体の実績を横断して引く | 入口の例Supermetrics、Windsor.ai |
| 広告の出稿や変更まで会話で回す | 入口の例Adspirer |
| 広告トラッキングの成果を引く | 入口の例Voluum |
広告媒体の数字だけを集めたいなら、Polarを入れる理由は薄めです。逆に、利益率や新規顧客別のCACのように、ストアの数字と広告費をまたぐ質問が多いチームほど、Polarの層の価値が出ます。
つまずきやすい点
- 数字が毎回ぶれる: 帰属の基準と期間が指示に入っていない状態です。上の型を入れ、列見出しに基準を書かせます
- 別ストアの数字が返る: ワークスペースが切り替わっていないか、Polarのアプリで確かめます
- 既存レポートを引きたい: ダッシュボード名とレポート名の両方を、Polarで付けた名前のまま伝えます
- チャットがすぐ長くなる: Polarのヘルプは、単発チャットでは上限に早く達しやすいと注意しています。プロジェクトに移します
- ブランド色の出力にしたい: ロゴは画像でなく、拡張子
.txtのSVGとして添付します。PNGやJPGは「画像として見て再現しようとする」と説明されています
まとめ
Polar Analyticsコネクタは、ストア・広告・メールのデータを事業側の定義で集計した層にClaudeをつなぎます。値は、接続よりも「どの帰属基準で、どの期間か」を指示に固定する運用で決まります。
Polar Pixelとプラットフォーム報告のROASを混ぜて語らないこと、generate_report の引数を最初に開くこと。この2点を押さえれば、毎回違う答えが返る事態を減らせます。