ClaudeのRate chatsを切り替えて評価ボタンの送信を止める
Team・EnterpriseプランでRate chatsのトグルを切り替え、メンバーの高評価・低評価ボタンによるAnthropicへのフィードバック送信を組織単位で制御する手順と、止まる範囲の見方です。
Team・Enterpriseプランでは、Primary Owner(組織の最上位の所有者)またはOwnerが、Organization settingsのData and Privacyから「Rate chats」のトグルを切り替えます。このトグルで、メンバーが高評価・低評価(thumbs up / thumbs down)でAnthropicにフィードバックを送れるかどうかを組織として管理できます。
Rate chatsを切り替える手順
操作は2段階で終わります。
- Primary OwnerまたはOwnerのアカウントでClaudeにサインインし、Organization settingsを開く
- Data and Privacyを選び、Rate chatsのトグルを切り替える
手順の対象はTeam・EnterpriseプランのPrimary OwnerとOwnerです。それ以外の管理ロールがこの画面を開けるかどうかは、ヘルプに記述がありません。トグルが見当たらないときは、まず自分のロールを確認します。
トグルのオン・オフそれぞれの表示文言も、ヘルプ本文には書かれていません。切り替え後は、管理者以外のテストアカウントでチャット画面の評価ボタンを確認する運用が確実です。
なぜ評価ボタンを組織で止めたいのか
商用プランの既定は、会話を学習に使わない扱いです。ただし例外があります。
- 明示的に報告された内容(高評価・低評価のフィードバック機構を含む)は、Anthropicがモデルの学習に使う場合がある
- Development Partner Programに参加した場合は、Claude Codeのセッションなど、許可したデータが学習に使われることがある
「明示的に報告された内容」には、ボタンによる報告のほかに、学習への参加を明示的に選んだ場合も含まれます。Privacy Centerは、商用プランでは会話やコーディングセッションを学習に使わないとしたうえで、この2つを例外として挙げています。前者を組織側で入口から管理する設定が、Rate chatsです。後者のDevelopment Partner Programは、参加を選んだ組織だけに関わる別の話で、Rate chatsのトグルとは関係しません。
つまり、契約上は学習利用が既定オフでも、メンバーがボタンを1回押すだけで例外の経路が開きます。押した本人に悪意はなく、回答の出来を伝えたいだけという場面がほとんどです。機密性の高い業務でClaudeを使う組織では、この善意の1クリックを制度側で閉じたい事情が生まれます。
Rate chatsのトグルは、その入口を組織単位で管理するための設定です。
評価ボタンで送ったデータはどう扱われるか
フィードバックを送ると、その送信に紐づくデータは5年間保持されます。Privacy Centerの説明では、高評価・低評価のボタンで送った場合も、バグ報告として送った場合も同じ扱いです。
| 経路 | 保持の扱い(Privacy Center) | 学習利用の扱い |
|---|---|---|
| 通常のチャット・コーディングセッション | 保持の扱い(Privacy Center)組織の保持設定に従う | 学習利用の扱い商用プランでは既定で使わない |
| 高評価・低評価ボタンで送った内容 | 保持の扱い(Privacy Center)送信に紐づくデータを5年間保持 | 学習利用の扱い明示的に報告された内容として学習に使う場合がある |
| バグ報告 | 保持の扱い(Privacy Center)送信に紐づくデータを5年間保持 | 学習利用の扱い公式ページに個別の記述なし |
通常の会話とは別に、フィードバックとして5年保持されます。通常の会話を削除しても、送信済みのフィードバック側のデータが同時に消えるかどうかは、このヘルプからは読み取れません。削除まわりの境界はClaude Team/Enterpriseの送信データの削除とバックエンド保持の境界で扱っています。
保持期間の対比
同じPrivacy Centerのページには、フィードバック以外の保持期間も載っています。5年がどれだけ長いかは、並べると分かります。
- 削除した会話: 履歴からは即座に消え、バックエンドの保存システムからは30日以内に削除される
- Incognitoチャット: 利用規約違反としてフラグが立たない限り、30日以内に自動削除される
- 利用規約違反としてフラグが立った会話: 入出力を最長2年、分類スコアを最長7年保持する
- フィードバック(高評価・低評価ボタン、バグ報告): 送信に紐づくデータを5年保持する
削除した会話の30日と比べると、フィードバックの5年は60倍にあたります。会話を消しても、評価ボタンで送った内容は別の時間軸で残ることがあるので、機密性の高い会話ほど、ボタンを押す前の判断が効いてきます。
上の4つは通常の期間で、例外も明記されています。Privacy Centerによれば、法令上の要請や利用規約違反への対処に必要な場合は、これより長く保持することがあります。契約で認められていれば、研究や統計の目的で匿名化したうえ、さらに長く保持することもあります。加えて、Covered Models(限定的なデータ保持とレビューが求められるモデル)は、安全性の取り組みとして別の保持ルールの対象です。詳細は専用のページにあります。
APIでも前提が違います。APIの入出力は受信・生成から30日以内に自動削除されます。
Rate chatsで止まる範囲と止まらない範囲
ヘルプが説明しているのは、thumbs up / thumbs downによるフィードバックの送信可否です。ここを読み違えると、設定したつもりで別の経路が残ります。
| 経路 | Rate chatsで管理できるか |
|---|---|
| チャット画面の高評価・低評価ボタン | Rate chatsで管理できるか管理対象(明記あり) |
Claude Codeの/bug・/feedback | Rate chatsで管理できるか記述なし。別の設定と手段で扱う |
Claudeが下書きするフィードバック(feedbackDrafts) | Rate chatsで管理できるか別機能。記述なし |
Claude Code側のフィードバック経路は、送信コマンドとアンケートで挙動が分かれます。整理はClaude Codeのバグ報告とフィードバック送信(/bug /feedback)に、下書き機能の停止はfeedbackDraftsを無効化してフィードバック下書きを止めるにあります。Rate chatsは、チャット画面の評価ボタンに特化した設定として扱います。
切り替えたあとの確認と社内周知
トグルを変えただけでは、現場は変化に気づきません。次の3点を組にしておくと、問い合わせが減ります。
- テストアカウントで、切り替え後にチャット画面の評価ボタンが期待どおりの状態かを確認する
- フィードバックを送りたい従業員向けに、社内の窓口(情報システム部門など)を1つ決めて周知する
- 変更の日付と担当者を、情報セキュリティの管理台帳に残す
評価ボタンが使えなくなると、回答の質が悪かったときに知らせる手段が現場から消えます。品質の声を拾いたい組織は、ボタンの代わりに社内アンケートや共有チャンネルを用意しておくと、統制と改善の両立がしやすくなります。
過去に送信したフィードバックに切り替えが効くかどうかは、ヘルプに記述がありません。すでに送られたデータの扱いはPrivacy Centerの記述と契約内容で確かめます。
ヘルプの末尾は、フィードバックデータの収集・利用・保存の詳細をPrivacy Centerの「How long do you store my organization's data?」に案内しています。切り替えの前に、このページと本記事の保持期間の対比を情報セキュリティ担当と一緒に読んでおくと、変更の根拠を社内で説明しやすくなります。
個人プランとの違い
この設定はTeam・Enterpriseの組織向けです。今回の一次ソースが対象にしているのも、商用プラン(Claude for WorkやAPIなど)の記述です。Privacy Centerのページ冒頭には、Free・Pro・Maxなどの個人向けプランは別のページを参照するよう案内があり、個人プランでは保持と学習利用のルールが別立てになっています。個人プランと商用プランの既定の違いはClaudeを学習させない設定 — プラン別の既定と手順にまとめています。
個人アカウントから組織へ移行した直後は、この違いに戸惑いやすい場面です。移行手順はClaude個人アカウントの組織移行手順にあります。組織側の統制機能の全体像はClaude Enterpriseプランガイドで確認できます。
よくあるつまずき
トグルが表示されない
Primary OwnerまたはOwner以外のロールでは、設定項目が出ない可能性があります。ロールの確認を先に行います。
個人プランで探している
Rate chatsは組織向けの設定なので、個人プランの画面に同じ名前の項目があるとは限りません。個人プランの学習利用は、Claudeを学習させない設定で扱っています。
設定したのにCLIから送信される
Rate chatsの管理対象は、評価ボタンによる送信です。Claude Codeのコマンドは別の設定で扱います。
過去のフィードバックを消したい
トグルの切り替えで処理される前提にはせず、データ削除の依頼窓口やPrivacy Centerの記述を確認します。
まとめ
Rate chatsは、Team・Enterpriseの管理者が評価ボタン経由のフィードバック送信を組織単位で管理するためのトグルです。場所はOrganization settingsのData and Privacyで、操作できるのはPrimary OwnerとOwnerです。
送信したフィードバックは5年間保持され、学習に使われる場合があります。既定で学習に使われない商用プランでも、この経路だけは例外として残るため、機密性の高い組織では設定を見直す価値があります。切り替え後はテストアカウントでの確認と、代替の社内フィードバック窓口をセットで整えます。