Claudeでメルマガの件名と本文のバリエーションを作る手順
同じ訴求を件名の型と本文のトーンで書き分け、配信セグメント別の下書きを一覧にする手順です。プロンプトの雛形と、配信前に人が確かめる点をまとめます。
メルマガの件名と本文を何通りも作る作業は、訴求そのものを考える時間より「言い回しを変えて書き直す」時間のほうが長くなりがちです。この書き直しの部分は、Claudeにまとめて任せやすい作業です。ただし「件名を10個出して」とだけ頼むと、語尾を変えただけの似た案が並びます。
コツは、訴求を1つに固定し、変える軸を先に決めてから頼むことです。この記事では、件名の型と本文のトーンを軸にして、配信セグメントごとの下書きを一覧にするまでの手順を、コピーして使えるプロンプトつきで説明します。
バリエーションを作る前に固定しておく3つの材料
Claudeに渡す材料は、訴求・読み手・守る条件の3つです。ここが曖昧なまま件名だけ量産すると、あとで直す量が増えます。
1つ目は訴求です。「今月の新機能を伝える」「秋のセールを告知する」のように、この1通で読み手に取らせたい行動を1文で書きます。訴求が2つ以上あるメルマガは、バリエーション以前に1通を分けたほうが整理しやすくなります。
2つ目は読み手です。配信セグメントの定義と、そのセグメントが今どういう状態かを書きます。「購入から30日以内の既存顧客」と「資料請求だけした見込み客」では、同じ訴求でも刺さる切り口が違います。
3つ目は守る条件です。件名の文字数の上限、使わない表現、必ず入れる文言(配信停止の案内や会社名など)を挙げます。Anthropicのプロンプト指南は、指示の背景や理由を添えると、Claudeがその意図を汲んで的を絞った応答を返しやすくなると説明しています。「絵文字は使わない」だけでなく「読み手が経理担当者で、私的な印象を避けたいから」と理由を書くと、他の場面にも一貫して効きます。
件名の型を軸にして書き分ける
件名のバリエーションは、言い回しの違いではなく訴求の見せ方の違いで作ります。型を指定すると、案が重なりにくくなります。
| 型 | 件名の狙い | 使いどころ | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 緊急性 | 件名の狙い期限や残数で今読む理由を作る | 使いどころセール終了間際・申込締切 | 注意点実際の期限に限る。毎回使うと慣れられる |
| 利益訴求 | 件名の狙い読んだ後に得られるものを先に見せる | 使いどころ機能紹介・ノウハウ提供 | 注意点効果を断定しない |
| 疑問形 | 件名の狙い読み手の悩みに問いかける | 使いどころ課題認識の段階にいる見込み客 | 注意点答えが本文にあること |
| 数字 | 件名の狙い件数や日数で中身を具体化する | 使いどころ事例集・チェックリスト | 注意点数字は必ず実数を渡す |
| お知らせ | 件名の狙い事実だけを淡々と伝える | 使いどころ既存顧客への運用連絡 | 注意点訴求は弱い。開封目的でない通知向き |
| 名指し | 件名の狙いセグメントの属性を呼びかけに入れる | 使いどころ職種・業種で分けた配信 | 注意点属性の当てはめ違いに注意 |
この表は型の一覧であって、どれが開封されやすいかを示す数字ではありません。効果は自社の読み手によって変わるので、配信テストで確かめるのが確実です。Claudeに任せるのは、テストにかける候補を素早く揃えるところまでです。
候補を配信テストにかけるときの進め方
配信テスト(A/Bテスト)は、比べたい差が1つだけになるように組みます。件名を比べるなら、本文・配信時刻・送信元名は両方で同じにします。件名と本文を同時に変えると、開封と反応のどちらが何の差かを切り分けられません。
手順は3つです。まず、Claudeが出した件名の中から、型の違う2〜3案を選びます。似た案を並べても差が見えないためです。次に、配信リストを同じ条件で無作為に分けます。最後に、開封率などの結果が出たら、勝った型と、その読み手の状態をProjectのナレッジに書き足します。次回の依頼で「この読み手にはこの型が反応した」という材料として渡せます。
型を指定して件名を出させる指示
型と本数、文字数、避ける表現を明示します。次の形が使い回しやすい雛形です。
<instructions>
下の訴求について、メルマガの件名を型ごとに3案ずつ作ってください。
型は「緊急性」「利益訴求」「疑問形」「数字」の4つです。
1案ごとに、狙いを10字前後で添えてください。
</instructions>
<context>
訴求: 10月1日から始まる年間プランの早期申込割引を伝える
読み手: 購入から30日以内の既存顧客
条件: 件名は全角30字以内。絵文字と「!」は使わない。割引率は20%
</context><instructions>と<context>のようにタグで分けると、指示と材料の取り違えが減ります。タグの使い分けはClaudeへのプロンプトをXMLタグで構造化する書き方で詳しく扱っています。
数字や期限はこちらから渡す事実です。「割引率は20%」と書かずに「お得な割引」とだけ渡すと、Claudeが数字を補って書く場合があります。実数はすべて条件欄に入れておき、返ってきた件名の数字がそこと一致するかを見ます。
本文はトーンと長さを変えて書き分ける
本文のバリエーションも、変える軸を先に決めます。よく使う軸は、トーン(丁寧・親しみやすい・簡潔)、長さ(3行・1画面・詳細版)、構成(結論先出し・課題提起から入る)の3つです。
全部を掛け合わせると数が増えすぎます。1回の依頼で動かす軸は多くて2つにとどめると、比べやすい一覧になります。
<instructions>
上の訴求で、本文を2種類作ってください。
A: 丁寧で簡潔。結論を冒頭に置き、全体で200字前後。
B: 親しみやすいトーン。課題提起から入り、全体で400字前後。
どちらも末尾に申込ページへの案内を1行入れ、URLは{{URL}}のままにしてください。
</instructions>URLや宛名の差し込み部分は{{URL}}のような目印で残しておくと、配信ツール側の差し込みタグに置き換える作業が楽になります。
過去のメルマガを例として渡して自社の文体に寄せる
トーンを言葉で説明するより、実際に使った文面を見せるほうが伝わります。Anthropicの指南は、例がClaudeの出力の形式・トーン・構成を導く最も確実な方法の1つだとしています。例は自分の用途に近く、互いに違いがあり、タグで囲んで指示と区別することが勧められています。
例の数は3〜5個が目安です。過去に反応が良かった件名と本文の組を選び、あえて異なる型のものを混ぜます。似た例ばかり渡すと、Claudeが「この長さ、この結び方が正解」と受け取って、新しい案まで同じ型になります。
<examples>
<example>
件名: 10月分の請求書発行日のご案内
本文: いつもお世話になっております。10月分の請求書は…
</example>
<example>
件名: 経費精算、月末に慌てないための3つの設定
本文: 月末が近づくと…
</example>
</examples>
この文体で、上の訴求の件名と本文を作ってください。過去メルマガをまとめて貼るとき、そこに顧客名やメールアドレスが残っていないかは確認してください。個人情報を含む入力の扱いは個人情報を含むプロンプト入力は第三者提供にあたるかで整理しています。例文は宛名を伏せてから渡すのが安全です。
セグメント別の下書きを一覧にして受け取る
セグメントが3つ以上あると、チャットの返信を読み比べるのは大変です。Claudeにファイルを作らせると、比較しやすい一覧になります。
Claudeのコード実行とファイル作成機能は、Excel(.xlsx)・Word(.docx)・PowerPoint(.pptx)・PDFを作れます。公式のヘルプでは、Free・Pro・Maxの各プランでは設定の「Capabilities」から「Code execution and file creation」をオンにして使うと説明されています。TeamとEnterpriseでは、組織のオーナーが組織設定で有効・無効を管理します。
セグメントを行、件名の型を列にしたExcelを作ってください。
各セルには件名の案を1つ入れ、別シートに本文A・Bを入れてください。
セグメントは次の3つです。
1. 購入から30日以内の既存顧客
2. 資料請求のみの見込み客
3. 半年以上開封のない休眠顧客ファイル1つの上限は、アップロード・ダウンロードとも30MBです。メルマガの下書きでこの上限に触れることはまずありませんが、過去の配信実績のCSVを大量に渡すときは頭に入れておきます。
ファイル作成は通常のチャットより利用上限を多く消費します。一覧が要らない単発の依頼なら、ファイルにせず表形式でチャットに返させるほうが軽く済みます。
自社の指示をProjectに固定して毎回の説明を省く
配信のたびに条件を書き直すのは手間です。Claudeのプロジェクトには、プロジェクト指示とナレッジ(資料)を置けます。公式のヘルプでは、プロジェクトが独自のチャット履歴とナレッジを持つ作業スペースで、プロジェクト指示でトーンや立場を指定できると説明されています。
メルマガ用のプロジェクトを作り、次のような内容を置いておくと、毎回の依頼は訴求と読み手だけで済みます。
【プロジェクト指示の例】
あなたは自社のメルマガ編集者です。
- 件名は全角30字以内。絵文字と「!」は使わない
- 数字と日付は、依頼で渡されたものだけを使う。推測で補わない
- 期限や在庫の表現は、依頼に書かれた事実がある場合だけ使う
- 本文の末尾には、配信停止の案内を入れる欄を空けておく
- 出力は「件名案」「本文案」「狙いの一言」の順で返すナレッジには、過去の反応が良かった件名の一覧や、ブランドの表記ルール(社名表記・禁止語)を入れます。有料プランでは、ナレッジが大きくなるとRAG(検索拡張生成)モードで容量が広がります。仕組みはClaude ProjectsのRAG検索の仕組みと全文投入との違いにあります。
配信前に人が確かめる点
Claudeが返した案は下書きです。配信前に、次の点を人が確かめます。
- 件名と本文で言っていることが食い違っていないか。件名で約束した内容が本文に無いと、開封後の離脱につながります
- 緊急性の表現が事実に基づいているか。期限が実際に存在しないのに「本日限り」と書かれていないかを見ます
- 割引率・価格・日付が、条件欄に書いた値と一致しているか
- 効果の断定や、他社との優劣比較が紛れ込んでいないか
- 特定電子メール法に沿っているか。広告宣伝を含むメールは、原則として受信者の事前の同意を得た相手に送ります。同意を得た記録が残っているかを確認します
- 本文に、送信者の氏名または名称、送信者の住所、配信停止(オプトアウト)を受け付ける連絡先が入っているか。配信停止の案内欄が空のまま配信されていないかを見ます
- 配信停止の依頼があった相手が、配信リストから外れているか。セグメント別に出した下書きの宛先が、外した後のリストと一致しているかも照らします
- 販売を伴うメルマガなら、事業者名・連絡先などの表示が揃っているか。確認の観点は特定商取引法における通信販売の表示義務をClaudeで点検する方法にあります
Claudeに「この案の中で事実と食い違う箇所を、条件欄と照らして洗い出して」と頼む二次チェックも使えます。ただし、最終判断は配信担当者が行います。
つまずきやすい点と直し方
案が似通う場合は、型の指定が甘いことが多いです。「型ごとに3案」と頼み、さらに「同じ型の3案は、切り口を変えて」と足します。
件名が長くなる場合は、条件欄の文字数の上限を守れていません。返ってきた案の文字数を数えるよう頼み、超えたものだけ短くさせます。
セグメントごとの違いが薄い場合は、セグメントの状態の説明が足りていません。「何を知っていて、何に困っているか」を1〜2文で書き足します。
MAツールとの使い分け
作った件名・本文は、そのままメール配信ツールへ貼り付けられます。Claudeとツールを直接つなぐ方法もあります。配信ツールのデータをClaudeに読ませる連携では、過去の配信成績を件名づくりの材料にできます。何を読み書きできるかは連携ごとに違うため、各記事で確かめてください。接続手順はClaude Klaviyo連携の使い方、BrazeについてはClaude Braze連携の使い方を参照してください。連携すると配信まで踏み込めるぶん、権限の設定を先に確認する必要があります。下書きづくりだけなら、連携なしのチャットとProjectで足ります。
まとめ
メルマガの件名と本文のバリエーションは、訴求を固定し、件名の型・本文のトーン・長さの軸を指定して頼むと、似た案の量産になりません。過去の文面を3〜5個の例として渡し、条件をProjectの指示に置いておくと、毎回の入力が短くなります。
一覧が要るときはExcelで受け取り、数字・期限・表示事項は必ず人が照合します。Claudeが作るのは配信テストにかける候補で、どの案を送るかを決めるのは編集者です。